この記事の対象:機械や設備の設置・移転・変更、建設工事を予定している特定技能外国人の受入れ企業の安全衛生担当者
計画の届出は3種類:機械等は30日前、大規模な建設は30日前、一般の建設は14日前
労働安全衛生法第88条は、事業者が一定の機械等を設置・移転・変更するとき、または一定の建設の仕事を始めるときに、工事や仕事を始める前に計画を届け出ることを求めています。
届出は3つの項に分かれ、対象、期限、届出先がそれぞれ違います。外国人を雇っているかどうかで義務の中身は変わらず、事業者であれば日本人の労働者だけの職場と同じ届出が必要です。
第1項の届出には、ただし書があります。危険性または有害性の調査(リスクアセスメント)とその結果に基づく措置などを講じている事業者として、労働基準監督署長が認定した場合は、第1項の届出が要らなくなります。
| 項 | 対象 | 期限 | 届出先 |
|---|---|---|---|
| 第1項 | 危険・有害な作業を必要とする機械等のうち省令で定めるものの設置・移転・主要構造部分の変更 | 工事の開始の日の30日前まで | 労働基準監督署長 |
| 第2項 | 建設業の仕事のうち、重大な労働災害のおそれがある特に大規模なもの | 仕事の開始の日の30日前まで | 厚生労働大臣 |
| 第3項 | 建設業その他政令で定める業種の仕事のうち、省令で定めるもの | 仕事の開始の日の14日前まで | 労働基準監督署長 |
機械等の届出:様式第20号に事項と図面を添え、短期の使用は除かれる
労働安全衛生規則第86条第1項は、別表第七の上欄に掲げる機械等を設置・移転し、または主要構造部分を変更しようとする事業者は、様式第20号の届書に、その機械等の種類に応じた書面と図面等を添えて、所轄の労働基準監督署長に提出するよう定めています。
同規則第85条は、別表第七に掲げる機械等であっても、除かれるものを2つ挙げています。1つ目は、機械集材装置・運材索道・架設通路・足場以外の機械等で、6か月未満の期間で廃止するものです。ただし、法第37条第1項の特定機械等と型枠支保工は、この除外に含まれません。
2つ目は、機械集材装置・運材索道・架設通路・足場で、組立てから解体までの期間が60日未満のものです。足場は60日未満なら届出の対象から外れ、60日以上使うなら対象になり得るという見方になります。
法第88条第1項のただし書の措置として、同規則第87条は、危険性または有害性等の調査とその結果に基づく措置、および第24条の2の指針に従って事業者が行う自主的活動を挙げています。
足場そのものの作業床や点検の決まりは、足場の安全の決まりで確認できます。
| 機械等の区分 | 除かれる条件 |
|---|---|
| 機械集材装置・運材索道・架設通路・足場以外の機械等 | 6か月未満の期間で廃止するもの(特定機械等と型枠支保工を除く) |
| 機械集材装置・運材索道・架設通路・足場 | 組立てから解体までの期間が60日未満のもの |
建設の仕事の届出:規則の仕事の一覧に当たるかを、始める前に確かめる
第2項の特に大規模な仕事は労働安全衛生規則第89条が、第3項の仕事は同規則第90条が、それぞれ範囲を定めています。
第89条の仕事には、高さ300メートル以上の塔の建設、堤高150メートル以上のダムの建設、最大支間500メートル(つり橋は1,000メートル)以上の橋梁の建設、長さ3,000メートル以上のずい道等の建設などがあります。
第90条の仕事には、高さ31メートルを超える建築物または工作物の建設・改造・解体・破壊、最大支間50メートル以上の橋梁の建設等、掘削の高さまたは深さが10メートル以上の地山の掘削、圧気工法による作業などが並びます。石綿等の除去・封じ込め・囲い込みの作業を行う仕事も、第90条第5号の2・第5号の3に含まれています(第5号の3は粉じんを著しく発散するおそれのあるものに限られます)。
提出書類は、第91条に定めがあります。第2項の届出は様式第21号の届書に、周囲の状況と四隣との関係を示す図面、建設等をしようとする建設物等の概要を示す図面、機械・設備・建設物等の配置図、工法の概要、労働災害を防止するための方法と設備の概要、工程表を添えて厚生労働大臣に提出します。第3項の届出にも同じ内容が準用され、届出先が所轄の労働基準監督署長になります。
建設分野で特定技能外国人を受け入れる企業の申請書類は、建設分野の様式で確認できます。
| 条 | 仕事の例 | 届出先 |
|---|---|---|
| 第89条 | 高さ300メートル以上の塔、堤高150メートル以上のダム、長さ3,000メートル以上のずい道等の建設 | 厚生労働大臣(様式第21号) |
| 第90条 | 高さ31メートルを超える建築物・工作物の建設等、最大支間50メートル以上の橋梁の建設等、深さ10メートル以上の地山の掘削 | 労働基準監督署長 |
資格のある者の参画と、数次の請負で届出をするのは誰か
第88条第4項は、一定の工事・仕事の計画を作成するときに、厚生労働省令で定める資格を有する者を参画させることを事業者に求めています。
労働安全衛生規則第92条の2は、この対象を、別表第七の第10号と第12号に掲げる機械等の設置・移転・主要構造部分の変更の工事と、第90条第1号から第5号までの仕事(第1号から第3号までは建設の仕事に限る)と定めています。参画させる者の資格の中身は、この条文では確認できていないため、このガイドでは扱いません。
仕事が数次の請負契約で行われる場合、第5項により、第2項・第3項の届出(と、第4項のうち第2項・第3項の届出に関する部分)は、仕事を自ら行う発注者がいればその発注者以外の事業者には適用されません。発注者がいない場合は、元請負人以外の事業者に適用されません。第1項の機械等の届出は、この除外の対象になっていません。
届出をしないと50万円以下の罰金。内容に違反があれば差止めも
第88条第6項は、届出を受けた労働基準監督署長(第2項の届出では厚生労働大臣)が、届出の内容が労働安全衛生法またはこれに基づく命令に違反すると認めるときに、その工事・仕事の開始を差し止め、または計画の変更を命じられると定めています。
第120条第1号は、第88条第1項から第4項までの規定に違反したときの罰則として、違反行為をした者に50万円以下の罰金を定めています。届出をしなかった場合と、期限に遅れた場合の扱いは、条文からは分けて確認できないため、所轄の労働基準監督署で確かめてください。
第97条第1項は、作業に従事する人が、事業場にこの法律またはこれに基づく命令に違反する事実があるときに、労働局長・労働基準監督署長・労働基準監督官に申告して是正を求められると定めています。第2項は、事業者が申告を理由に解雇その他の不利益な取扱いをすることを禁止しています。
労働基準監督署の調査と申告の受け付けは、監督署の調査と申告で確認できます。
着工前に確かめる項目
条文に照らして着工前に確かめられるのは、対象に当たるか、いつまでに誰へ出すか、除外や認定に当たるかの3点です。
工事や仕事を始める日から数えて、30日前または14日前の期限を過ぎないように、計画の段階で対象かどうかを確認します。足場や短期の機械等は、使う期間によって対象から外れることがあります。
この整理は条文との照らし合わせにとどまります。別表第七の機械等の種類ごとの添付事項や、対象に当たるかの最終的な判断は、所轄の労働基準監督署に確認してください。
- 設置・移転・変更する機械等が、規則の別表第七に掲げられているか
- 6か月未満の使用や、60日未満の足場など、除外に当たらないか
- リスクアセスメントなどを理由とする認定を受けているか
- 建設の仕事が、規則第89条または第90条の一覧に当たるか
- 期限(30日前・14日前)から逆算して、届書と添付書類をそろえているか
- 数次の請負で、自社が届出をする側かを確認したか
よくある質問
計画の届出は、いつまでに出しますか?
第88条第1項(機械等)と第2項(特に大規模な建設の仕事)は、工事または仕事の開始の日の30日前まで、第3項(一般の建設の仕事)は14日前までです。
足場を組むときは、必ず届け出が必要ですか?
労働安全衛生規則第85条は、足場で組立てから解体までの期間が60日未満のものを届出の対象から除いています。60日以上使う場合は、その足場が別表第七に掲げる足場(規模の要件があります)に当たるときに対象になり得ます。足場以外の別表第七の機械等も同様です。
届出をしないとどうなりますか?
第120条第1号により、第88条第1項から第4項までに違反した者は50万円以下の罰金の対象です。届出があった場合でも、違反があると認められれば、第6項により開始の差止めや計画の変更を命じられることがあります。
外国人労働者を雇っている場合に、特別な届出はありますか?
第88条の届出は事業者の義務で、労働者が外国人かどうかで中身は変わりません。外国人の雇用に関する届出は、別のものです。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」(確認日:2026年10月3日、次回確認:2026年12月3日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生法」第97条(申告)(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年1月27日)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)