この記事の対象:特定技能外国人を雇い夜間の当番勤務を置く受入れ企業・施設の人事・労務担当者、登録支援機関の担当者

許可を受けた宿日直は、労働時間・休憩・休日の規定の適用外

宿直や日直の勤務は、所轄の労働基準監督署長の許可を受けた場合に限り、労働時間・休憩・休日の規定の適用から外れます。許可を受けない当番勤務は、そのまま労働時間です。

労働基準法第41条第3号は、監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたものには、労働時間、休憩及び休日に関する規定を適用しないと定めています。施行規則第23条は、宿直又は日直の勤務で断続的な業務について、様式第10号で所轄の労働基準監督署長の許可を受けた場合に、法定労働時間の規定にかかわらず労働者を使用できるとしています。

岩手労働局の資料は、この許可を受けても、深夜労働に関する規定は適用除外にならないとしています。午後10時から午前5時までの深夜労働時間には、2割5分以上の割増賃金の支払いが必要です。福井労働局の資料も、深夜業に関する規制は適用除外にならないと書いています。

介護施設や宿泊施設のように夜間も人を置く職場で、特定技能外国人にも宿直を割り当てる場合は、同じ許可の枠組みで考えます。資料が示す許可基準は業務の実態に関するもので、国籍による区別は書かれていません。

許可の基準:ほとんど労働しない勤務、手当の額、回数、睡眠設備

岩手労働局の資料は、許可基準として、業務の内容、宿日直手当、回数を示しています。宿直の申請では、睡眠設備の概要が分かる資料も添付します。

業務の内容は、常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務に限られます。許可の対象は、定期的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機などを目的とするものです。通常の労働の継続は原則として許可されず、本来業務の始業や終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受や盗難・火災防止を行うものは対象になりません。

宿日直手当の最低額は、事業場で宿直又は日直に就くことが予定されている同種の労働者に支払われる賃金(割増賃金の基礎となる賃金に限る)の1人1日平均額の3分の1を下らない額です。岩手労働局の資料では、宿直手当の最低額は深夜割増賃金を含む額として示されています。回数は、原則として宿直は週1回、日直は月1回が限度とされています。

社会福祉施設については、岩手労働局の資料が、少数の入所者への夜尿起こし、おむつ交換、検温などの介助作業で、軽度かつ短時間のものに限る扱いを示しています。短時間は、一勤務中に1回ないし2回が限度で、1回の所要時間が通常10分程度のものです。

「通常の勤務時間の拘束から完全に解放されたもの」という文言は、同資料では医師・看護師などと社会福祉施設に当てはめられている基準です。許可は所轄の労働基準監督署長が行うため、個別の施設が基準に当たるかは労働基準監督署に確認してください。

宿日直の許可基準と申請で示す事項(労働局の資料)
項目基準の要点確認すること
業務の内容定期的巡視、緊急の文書・電話の収受、非常事態に備えた待機など、ほとんど労働をする必要のない勤務に限る始業・終業時刻に密着した時間帯の業務を含めていないか
宿日直手当同種の労働者の1人1日平均額(割増賃金の基礎となる賃金)の3分の1を下らない額手当の計算書を賃金台帳と合わせて用意できるか
回数原則として宿直は週1回、日直は月1回が限度当番表で1人の回数が限度を超えていないか
睡眠設備(申請で示す事項)宿直の申請では、睡眠設備の概要が分かる資料(睡眠場所の見取図、写真)を添付する(岩手労働局の資料)。様式第10号の宿直欄には就寝設備の記入欄がある(福井労働局の資料)睡眠場所の見取図や写真を添付できるか

申請先と提出書類:様式第10号と添付資料

許可の申請書は、断続的な宿直又は日直勤務許可申請書(様式第10号)です。申請先は所轄の労働基準監督署です。

岩手労働局の資料によると、申請書と添付資料は各2部を提出します。添付資料は、対象労働者の労働の態様が分かる資料(タイムスケジュール、業務マニュアル、業務日報、巡回経路図)、就業規則の該当部分、宿日直手当の計算書と賃金台帳の写し、シフト表、睡眠設備の概要が分かる資料です。追加資料を求められる場合があります。

福井労働局の資料は、業務内容が変更になった場合には再度の申請が必要としています。許可を受けたあとに通常の勤務と同じ態様の業務が常態になった場合は、東京労働局の資料が、勤務内容の見直しが必要だとしています。

申請の可否や必要書類は、所轄の労働基準監督署が判断します。当サイトは申請の代行や個別の労務判断をしません。

許可がない宿日直と、許可があっても残る割増賃金

許可を受けていない宿日直は、通常の労働時間として扱う必要があります。許可があっても、割増賃金が必要になる場面があります。

厚生労働省の資料(医療機関向けの申請前チェックリスト)は、宿日直許可を得ずに行う宿日直は通常の労働時間として扱う必要があるとしています。福井労働局の資料は、労働時間には電話の応対や非常事態に備えて待機する時間(手待ち時間)も含まれ、原則として1日8時間、1週間40時間を超えてはならないと説明しています。

東京労働局の資料は、許可を得た宿日直の勤務中であっても、通常の勤務時間と同じ態様の業務に従事した時間は、労働基準法第36条による時間外労働の手続をとり、第37条の割増賃金を支払う必要があるとしています。

許可書に付く条件(回数など)は、許可どおりに実施します。夜間の当番を決める前に、業務の実態が上の基準に当たるかを確かめてください。

  • 夜間の当番で、巡視・電話の収受・待機以外の通常業務をさせていないか
  • 宿日直手当が、同種の労働者の1人1日平均額の3分の1を下らない額か
  • 1人あたりの宿直が週1回、日直が月1回の限度を超えていないか
  • 就寝設備の概要を、申請書と添付資料で示せるか
  • 許可を受けた内容から業務が変わったとき、再申請を検討したか
  • 深夜(22時から5時)の時間の割増賃金を、手当に含めるのか別に払うのか、労働基準監督署に確認して整理したか
  • 許可の範囲を超えて通常業務に就いた時間を、時間外労働として扱っているか

よくある質問

宿直の許可を受ければ、夜間の割増賃金は不要になりますか?

不要になりません。岩手労働局と福井労働局の資料は、許可を受けても深夜業に関する規定は適用除外にならないとしています。午後10時から午前5時の時間には2割5分以上の割増賃金が必要です。

宿直は何回まで割り当てられますか?

岩手労働局の資料は、原則として宿直は週1回、日直は月1回が限度としています。人数が足りず労働密度が薄い場合の例外も書かれているので、所轄の労働基準監督署に確認してください。

許可を受けずに夜間の当番をさせている場合はどうなりますか?

厚生労働省の医療機関向けの資料は、宿日直許可を得ずに行う宿日直は通常の労働時間として扱う必要があるとしています。

宿日直の許可は、申請すれば必ず出ますか?

出るとは限りません。基準に当たるかどうかは、所轄の労働基準監督署が判断します。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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