この記事の対象:特定技能外国人の賃金が最低賃金を下回らないか確認する受入れ企業の担当者
減額特例は、都道府県労働局長の許可を受けた場合だけ使える
最低賃金法第7条は、使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときに限り、4つの類型の労働者について、最低賃金額から一定率を減額した額で第4条を適用すると定めています。
許可がない状態で最低賃金額を下回る賃金を定めても、第4条第2項により、その部分は無効となり、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます。
第4条第1項に違反した場合の罰則は、第40条により、地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものについて50万円以下の罰金です。
| 号 | 対象の労働者 |
|---|---|
| 第1号 | 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者 |
| 第2号 | 試の使用期間中の者 |
| 第3号 | 認定を受けた職業訓練のうち基礎的な技能と知識を習得させるものを受ける者で、厚生労働省令で定めるもの |
| 第4号 | 軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者 |
省令が定める第3号・第4号の中身と、軽易な業務の絞り
最低賃金法施行規則第3条は、第3号と第4号の対象を具体的に定めています。
第4号の対象は、軽易な業務に従事する者と断続的労働に従事する者です。ただし、軽易な業務についての許可は、その業務が同じ最低賃金の適用を受ける他の労働者の業務と比べて特に軽易な場合に限って行えます。
第3号は、職業能力開発促進法施行規則に定める普通課程・短期課程の普通職業訓練などを受ける者のうち、職業を転換するために受けるもの以外が対象です。
申請は、労働基準監督署長を経由して、類型ごとの様式で出す
最低賃金法施行規則第4条は、許可を受けようとする使用者は、許可申請書を事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出しなければならないと定めています。
提出の宛先は都道府県労働局長ですが、窓口は事業場を管轄する労働基準監督署長を経由する形です。申請は、許可を受けたい労働者の類型を決めてから、その類型の様式で行います。
申請書の様式は、類型ごとに分かれています。社会保険労務士が電子申請で手続を使用者に代わって行う場合は、職務を代行する契約を締結していることの証明が必要です。
| 類型 | 様式 |
|---|---|
| 第1号の労働者(著しく労働能力の低い者) | 様式第1号 |
| 第2号の労働者(試の使用期間中の者) | 様式第2号 |
| 第3号の労働者(職業訓練を受ける者) | 様式第3号 |
| 軽易な業務に従事する者 | 様式第4号 |
| 断続的労働に従事する者 | 様式第5号 |
減額できる率は省令が定め、職務の内容などを勘案して決める
最低賃金法施行規則第5条は、減額の率を、区分ごとに同条の表が定める率以下の率であって、その者の職務の内容、職務の成果、労働能力、経験等を勘案して定めるものとしています。
このガイドは条文の構成の確認だけを行っており、表の具体的な率は掲載していません。率は、許可を受ける際の申請の中で、労働局と確認してください。
試用期間中であることだけで、自動的に最低賃金を下回る賃金を定められるわけではありません。第7条は、許可を受けたときに限る制度です。
試用期間そのものの扱いは、特定技能外国人の試用期間で確認できます。
特定技能では、報酬が日本人と同等以上であることも別に求められる
特定技能雇用契約の基準を定める省令第1条第1項第3号は、外国人に対する報酬の額が、日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることを求めています。
この報酬の同等以上の要件は、最低賃金法とは別の省令に定められています。最低賃金の減額の許可の有無と、報酬の要件は、別々に確認してください。
労働基準法第28条は、賃金の最低基準に関しては最低賃金法の定めるところによると定めています。
最低賃金に算入する賃金の見分け方は、最低賃金の確認方法で確認できます。
受入れ企業が点検する項目
条文に照らして点検できるのは、最低賃金を下回る賃金を定めている労働者がいないか、いる場合に許可があるか、報酬の同等以上の要件を別に見ているかの3点です。
最低賃金法第34条第1項は、事業場にこの法律に違反する事実があるとき、労働者が都道府県労働局長、労働基準監督署長または労働基準監督官に申告できると定めています。同条第2項は、申告を理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。
この点検は条文との照らし合わせにとどまります。許可が必要かどうかや率の決め方は、都道府県労働局や社会保険労務士に確認してください。
- 最低賃金額を下回る賃金を定めている特定技能外国人がいないか
- 下回る定めがある場合、都道府県労働局長の許可を受けているか
- 許可を受けた類型と、申請した様式が一致しているか
- 報酬が日本人が従事する場合と同等以上であるかを、別に確認したか
よくある質問
試用期間中は最低賃金を下回る賃金にできますか?
最低賃金法第7条第2号は試の使用期間中の者を減額特例の類型に挙げていますが、使用者が都道府県労働局長の許可を受けたときに限る制度です。許可がなければ、第4条により最低賃金額以上を支払う必要があります。
減額特例の許可申請書は、どこに出しますか?
施行規則第4条により、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して、都道府県労働局長に提出します。類型ごとに様式第1号から第5号までに分かれています。
最低賃金を下回ると、どのような罰則がありますか?
第4条第1項に違反した場合、第40条により、地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものについて50万円以下の罰金が定められています。個別の扱いは労働局や専門家に確認してください。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「最低賃金法」(確認日:2026年10月10日、次回確認:2027年2月7日)
- e-Gov法令検索「最低賃金法施行規則」(昭和34年労働省令第16号)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年4月13日)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日、次回確認:2026年12月6日)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)