この記事の対象:特定技能外国人を雇い労使協定を結ぶ受入れ企業の人事・労務担当者、登録支援機関の担当者
協定の相手方は、過半数組合か過半数代表者
労使協定や就業規則の意見聴取の相手方は、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合です。そのような組合がなければ、労働者の過半数を代表する者です。
たとえば労働基準法第90条は、就業規則の作成や変更について、過半数組合がある場合はその組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴くよう使用者に求めています。第34条第2項ただし書の休憩の一斉付与の例外なども、同じ形で相手方を定めています。
厚生労働省のリーフレットは、組合が過半数組合といえるのは、正社員だけでなくパートやアルバイトを含む事業場のすべての労働者の過半数で組織されている場合だとしています。過半数組合の要件を満たさない場合や、過半数代表者の選出が適正でない場合は、36協定を結んで届け出ても無効になると説明しています。
リーフレットは、パートやアルバイトを含む事業場のすべての労働者を、人数の数え方と選出の手続きの対象としています。特定技能外国人も事業場に使用される労働者なので、同じ扱いです。なお、労働基準法第3条は国籍を理由とする労働条件の差別的取扱いを禁じています。
過半数代表者の要件は2つ:管理監督者でないことと、適正な選出
労働基準法施行規則第6条の2第1項は、過半数代表者が次の2つの要件のどちらにも当たる者でなければならないと定めています。
1つ目は、労働基準法第41条第2号の監督又は管理の地位にある者(管理監督者)でないことです。厚生労働省のリーフレットは、管理監督者を、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人としています。
2つ目は、協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きで選出された者で、使用者の意向に基づき選出されたものでないことです。リーフレットは、労働者の過半数がその人の選出を支持していることが明確になる民主的な手続き(投票、挙手、労働者による話し合い、持ち回り決議)が必要で、パートやアルバイトを含むすべての労働者が手続きに参加できるようにするとしています。
使用者が指名した場合や、社員親睦会の幹事などを自動的に選任した場合は、その人は協定を結ぶために選出されたわけではないため、36協定は無効になると、リーフレットは説明しています。
リーフレットは、過半数を代表していることを含めた3事項を本人に確認するよう求めています。施行規則が定める要件は上の2つで、過半数を代表していることは、代表者という言葉の前提にあたります。
施行規則の第2項には特則があります。事業場に管理監督者でない者が1人もいない場合は、次の協定や手続きの過半数代表者に限って、2つ目の要件だけを満たせばよいとしています。対象は、貯蓄金管理(第18条第2項)、賃金の一部控除(第24条第1項ただし書)、時間単位年休・計画的付与・年休の賃金(第39条第4項・第6項・第9項ただし書)、就業規則の意見聴取(第90条第1項)です。
| 要件 | 内容 | 確かめ方の例 |
|---|---|---|
| 第1項第1号 | 管理監督者でない | 本人に聞いて確認する(厚生労働省のリーフレット) |
| 第1項第2号 | 協定等をする者を選ぶと明らかにして、投票や挙手などで選出。使用者の意向による選出でない | 全労働者が参加できる手続きにする。使用者の指名や親睦会幹事の自動選任は不可 |
過半数代表者が関わる協定・手続きの範囲
施行規則第6条の2は、過半数代表者について、労働基準法の複数の規定を挙げて同じ要件を定めています。
条文が挙げるのは、貯蓄金管理(第18条第2項)、賃金の一部控除(第24条第1項ただし書)、1か月・1年・1週間単位の変形労働時間制(第32条の2、第32条の4、第32条の5)、フレックスタイム制(第32条の3)、休憩の一斉付与の例外(第34条第2項ただし書)、36協定(第36条)、代替休暇(第37条第3項)、事業場外みなし労働時間制(第38条の2第2項)、時間単位年休と計画的付与(第39条第4項・第6項)、就業規則の意見聴取(第90条第1項)などです。
それぞれの協定の内容と届出の要否は別です。届出の要否は、協定ごとに各ガイドで確認してください。
| 場面 | 労働基準法の条 | 関連する当サイトのガイド |
|---|---|---|
| 時間外・休日労働(36協定) | 第36条 | 36協定のガイド |
| 1か月単位の変形労働時間制 | 第32条の2 | 1か月単位の変形労働時間制のガイド |
| 1年単位の変形労働時間制 | 第32条の4 | 1年単位の変形労働時間制のガイド |
| フレックスタイム制 | 第32条の3 | フレックスタイム制のガイド |
| 代替休暇 | 第37条第3項 | 代替休暇のガイド |
| 事業場外みなし労働時間制 | 第38条の2第2項 | 事業場外みなし労働時間制のガイド |
| 時間単位年休 | 第39条第4項 | 時間単位年休のガイド |
| 年次有給休暇の計画的付与 | 第39条第6項 | 年次有給休暇の計画的付与のガイド |
| 就業規則の意見聴取 | 第90条第1項 | 就業規則の届出のガイド |
代表者になったことを理由にした不利益取扱いの禁止と、使用者の配慮
施行規則第6条の2は、過半数代表者になった労働者を守る定めも置いています。
第3項は、使用者は、労働者が過半数代表者であること、過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、不利益な取扱いをしないようにしなければならないと定めています。
第4項は、使用者は、過半数代表者が協定等に関する事務を円滑に遂行できるよう、必要な配慮を行わなければならないとしています。
個別の選出手続きが適正かどうかは、所轄の労働基準監督署に確認してください。当サイトは個別の労務判断をしません。
- 協定のたびに、事業場の労働者数と、過半数を代表しているかを確かめたか
- 代表者が管理監督者でないことを、本人に確認したか
- 代表者を選ぶ目的を明らかにして、投票や挙手などの手続きにしたか
- パート、アルバイト、外国人の労働者も、手続きに参加できたか
- 使用者が指名したり、親睦会の幹事を自動的に充てたりしていないか
- 代表者になったことを理由に不利益な扱いをしていないか
よくある質問
社長や部長が指名した人を、過半数代表者にできますか?
できません。使用者の意向に基づき選出されたものでないことが要件です。リーフレットも、使用者が指名した場合は36協定が無効になるとしています。
社員親睦会の幹事を、そのまま代表者にしてよいですか?
親睦会の幹事などを自動的に選任した場合、その人は36協定を結ぶために選出されたわけではないため、36協定は無効になると、リーフレットは説明しています。協定等をする者を選ぶと明らかにして、投票や挙手などで選びます。
管理職は過半数代表者になれますか?
管理監督者に当たる人は、なれません。施行規則第6条の2第1項第1号が、管理監督者でないことを要件にしています。ただし、事業場に管理監督者でない者が1人もいない場合は、一部の手続きに限り、同条第2項の特則があります。
過半数代表者になったことを理由に、評価を下げてよいですか?
いいえ。施行規則第6条の2第3項が、代表者であることや正当な行為を理由とする不利益取扱いをしないようにしなければならないと定めています。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第6条の2(過半数代表者の要件・不利益取扱いの禁止)(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年2月16日)
- 厚生労働省リーフレット「36協定の過半数代表者の選出・協定の締結について」(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年1月14日)
- 厚生労働省リーフレット「時間外労働や休日労働をさせる場合には「36協定」が必要です」(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年2月18日)