この記事の対象:牛・豚・鶏などを飼う畜産の現場に特定技能外国人を配置する企業の安全衛生・総務担当者

基準の対象は16種類の家畜

家畜伝染病予防法第12条の3は、農林水産大臣が、家畜の飼養規模の区分に応じて、飼養衛生管理基準を農林水産省令で定めると規定しています。基準が定められた家畜の所有者は、基準に定めるところにより衛生管理を行わなければなりません。

基準を定める家畜は、施行令第4条が、牛、水牛、鹿、馬、めん羊、山羊、豚、いのしし、鶏、あひる、うずら、きじ、エミュー、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥と定めています。農林水産省は、学術、教育、愛玩、展示など飼う目的を問わず、定期報告が必要だと案内しています。

基準の中身として、法は5つの事項を挙げています。衛生管理の基本的な事項、病原体の侵入の防止、衛生管理区域内での汚染の拡大の防止、区域外への拡散の防止、そのほか必要な事項です。

農林水産省の案内では、令和6年度シーズンの高病原性鳥インフルエンザの発生を踏まえ、全畜種の基準が改訂され、新たに非商用家畜の基準が制定されました(令和7年9月29日公布)。畜種別の基準本体と、遵守状況を確かめるチェックリストは、同省のページから入手できます。

飼養衛生管理者の選任と従事者への教育

基準が定められた家畜の所有者は、衛生管理区域ごとに飼養衛生管理者を選任しなければなりません。所有者自身が飼養衛生管理者になる区域は、選任の対象外です(法第12条の3の2第1項)。

飼養衛生管理者の業務は、条文で3つ決まっています。家畜の飼養を行う人など、衛生管理区域に出入りする人(従事者等)を管理すること、従事者等に基準を周知すること、従事者等に必要な教育と訓練を行うことです。

施行規則第21条の2は、選任を衛生管理区域ごとに別の者に行うことを原則としています。区域が2以上あり、隣接しているなど業務に支障がないときは、2以上の区域を通じて1人を選任すれば足ります。

研修は努力義務です。所有者は、飼養衛生管理者に、家畜の伝染性疾病の国内外の発生状況、基準の内容と具体的な措置、都道府県の飼養衛生管理指導等計画の内容などを学ばせるよう努め、少なくとも年1回、研修等を受けさせるよう努めます(施行規則第21条の3)。

従事者等への周知と教育の言語や方法は、条文には定めがありません。外国人の従事者に伝える方法は、現場で決めておきます。

飼養衛生管理者まわりの義務と努力義務(家畜伝染病予防法 第12条の3の2、施行規則 第21条の2・第21条の3)
項目区分内容
飼養衛生管理者の選任義務衛生管理区域ごとに選任(所有者自身が務める区域は除く)
従事者等への周知と教育・訓練飼養衛生管理者の業務基準の周知、衛生管理に必要な教育と訓練
飼養衛生管理者の研修努力義務少なくとも年1回、研修等を受けさせるよう努める
  • 衛生管理区域ごとに、飼養衛生管理者が決まっている
  • 従事者等に、基準の周知と教育・訓練を行う担当と手順がある
  • 外国人の従事者への説明方法(読み合わせや実演)を決めた

定期報告の期限:4月15日と6月15日

基準が定められた家畜の所有者は、毎年、飼養している家畜の頭羽数と衛生管理の状況を、家畜の所在地を管轄する都道府県知事に報告しなければなりません(法第12条の4)。

農林水産省の案内によると、提出期限は、牛、豚、馬、水牛、鹿、めん羊、山羊、いのししが毎年4月15日、鶏、あひる、うずら、きじ、エミュー、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥が毎年6月15日です。令和8年からの報告様式は、全体版と、基本情報、畜種別の遵守状況の様式が公開されています。

施行規則第21条の6が定める報告事項は、所有者の氏名と連絡先、家畜の種類と頭羽数、畜舎等の数、基準の項目ごとの遵守状況と措置の実施状況、選任した飼養衛生管理者の氏名・住所・連絡先と管理する区域の住所です。小規模の所有者は、報告事項が一部に絞られます。

報告を受けた都道府県知事は、報告の内容を市町村長に通知します(法第12条の4第2項)。農林水産大臣は、毎年、衛生管理の状況や、指導・助言・勧告・命令の実施状況を公表しています。

  1. 畜種の期限を確かめる

    牛・豚などは4月15日、鶏などは6月15日です。

  2. 遵守状況を点検する

    畜種別のチェックリストで、基準の項目ごとの状況をまとめます。

  3. 飼養衛生管理者の情報を揃える

    氏名、住所、連絡先と、管理する衛生管理区域の住所を報告に載せます。

指導・勧告・命令と罰金

都道府県知事は、基準が守られていないと認めるときに、指導・助言をし(法第12条の5)、それでも守られなければ、期限を定めて改善を勧告できます(法第12条の6第1項)。

勧告に従わないときは、期限を定めて、その措置をとるよう命令できます(同条第2項)。命令に正当な理由なく従わなかったときは、その旨を公表できます(同条第3項)。

命令に違反した人は、100万円以下の罰金に処せられます(法第66条)。基準の違反そのものに直接の罰則があるのではなく、指導、勧告、命令を経た段階で罰則が働く仕組みです。一方、定期報告をしない、または虚偽の報告をした人は、30万円以下の過料に処せられます(法第70条)。

よくある質問

飼養衛生管理者は、何をする人ですか?

衛生管理区域に出入りする従事者等を管理し、基準を周知し、衛生管理に必要な教育と訓練を行う人です(家畜伝染病予防法第12条の3の2第1項)。区域ごとに選任します。

定期報告はいつまでにしますか?

農林水産省の案内では、牛・豚・馬・水牛・鹿・めん羊・山羊・いのししは毎年4月15日、鶏・あひる・うずら・きじ・エミュー・だちょう・ほろほろ鳥・七面鳥は毎年6月15日です。

趣味で数羽の鶏を飼っていても報告が必要ですか?

農林水産省は、飼う目的(学術、教育、愛玩、展示等)を問わず報告が必要と案内しています。小規模の所有者は、報告事項が一部に絞られます(施行規則第21条の6)。

基準を守らないと、すぐ罰金になりますか?

いきなりではありません。都道府県知事の指導・助言、勧告、命令の順で進み、命令に違反した場合に100万円以下の罰金です(法第12条の5、第12条の6、第66条)。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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