この記事の対象:特定技能外国人の採用面接や説明会を行う受入れ企業の人事・採用担当者、登録支援機関の担当者

義務の内容:求職者等が相談できる体制の整備などの措置

男女雇用機会均等法第13条第1項は、事業主が雇用する労働者による性的な言動で、求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう、相談に応じ適切に対応するための体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないと定めています。

この措置は、令和7年法律第63号による改正で加わったもので、令和8年10月1日に施行されました。特定技能所属機関あての文書(令和8年5月14日付)は、関係省令や指針なども同日から施行・適用されるとしています。

措置の具体的な内容は、厚生労働大臣が定める指針(令和8年厚生労働省告示第52号)に書かれています。第13条第2項は、労働者が事業主による求職者等からの相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないとも定めています。

これまでの職場のセクシュアルハラスメント防止措置(同法第11条)は、すでに雇っている労働者が対象でした。今回の措置は、まだ雇っていない応募者などを守るものです。

対象になる人と場面:応募者のほか、説明会やインターンシップの参加者

厚生労働省のリーフレットでは、求職者等は、企業の求人に応募する人(求職者)と、求職者以外で採用に資する活動に参加する人や実習を受ける人を指します。

指針は、求職活動等の例として、採用面接、就職説明会、企業の労働者への訪問、インターンシップ、教育実習や看護実習などの実習の受講を挙げています。SNSなどのオンラインを介したものや、オンライン上で行われるものも含まれます。

場所も限られません。指針は、事業主が雇用する労働者が通常働いている場所で行われるものに限らないとしています。同性に対する言動も、被害を受けた人の性的指向やジェンダーアイデンティティにかかわらず、対象になります。

求職者等と求職活動等の範囲(厚生労働省のリーフレットと指針)
区分内容
求職者等企業の求人に応募する人/採用に資する活動に参加する人/教育実習・看護実習などの実習を受ける人
求職活動等の例採用面接、就職説明会、労働者への訪問、インターンシップ、実習の受講
場所・方法オンラインを介したものを含み、労働者が通常働いている場所に限らない

指針が挙げる典型例:面接・説明会・インターンシップ

指針は、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを、意に反する性的な言動により求職活動等が阻害され、看過できない程度の支障が生じることと定めています。状況は多様ですが、典型的な例として6つを挙げています。

「性的な言動」には、性的な事実関係を尋ねることや、性的な情報を意図的に広めること、必要なく身体に触ることなどが含まれます。言動を行う人には、事業主やその役員も想定されています。

表の例は指針の記載の要約です。個々の言動がこれに当たるかどうかは、状況ごとに判断が分かれます。迷う場合は、後の節で述べる相談の窓口や労働局に確認してください。

指針が挙げる典型例の要約(令和8年厚生労働省告示第52号)
場面例
少人数の説明会労働者が求職者等の腰や胸などに触り、求職活動の意欲が低下している
インターンシップ性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行い、活動が手につかない
インターンシップ性的な内容を含むポスターの掲示や画面の表示により、活動が手につかない
面接面接官を務める労働者から性的な事実に関する質問を受け、意欲が低下している
労働者への訪問訪問を受けた労働者に性的な関係を求められ、意欲が低下している
インターンシップ労働者が執拗に私的な食事に誘い、意欲が低下している

講じる措置:方針の周知、相談窓口、事後の対応、プライバシーの保護

リーフレットは、事業主が必ず講じる措置を11項目に整理しています。指針の区分では、方針の明確化と周知、相談体制の整備、事後の迅速かつ適切な対応、あわせて講ずべき措置の4つです。

求職者等に特有の措置は、求職活動等に関するルールをあらかじめ決めて、労働者と求職者等の両方に周知することです。リーフレットは、面談の時間と場所の指定、実施体制、やり取りに使うSNSの種類の指定などを例に挙げています。

相談窓口は、求職者等に周知します。指針は、求職者等が人事担当者に相談しづらいことも考えられるとして、人事担当者以外を窓口の担当者にすることも考えられるとしています。ハラスメントに当たるか微妙な場合や、発生のおそれがある段階でも、広く相談に対応するよう求めています。

事実関係の確認が難しいときは、同法第24条に基づく調停の申請など、中立な第三者機関に紛争の処理を委ねることが、指針に挙げられています。事実が確認できなかった場合でも、方針の再周知などの再発防止措置を講じるものとされています。

事業主が講じる11項目(厚生労働省のリーフレット)
区分措置
方針の明確化と周知①求職者等へのセクハラを行ってはならない旨の方針を明確にし、労働者に周知する ②行った者は厳正に対処する旨の方針と対処の内容を周知する ③求職活動等に関するルールを明確にし、労働者と求職者等に周知する
相談体制の整備④相談窓口をあらかじめ定め、求職者等に周知する ⑤窓口の担当者が適切に対応できるようにする
事後の迅速かつ適切な対応⑥事実関係を迅速かつ正確に確認する ⑦被害者への配慮の措置を行う ⑧行為者への措置を適正に行う ⑨再発防止に向けた措置を講ずる
あわせて講ずべき措置⑩相談者などのプライバシーを保護する措置を講じ、周知する ⑪事実関係の確認に協力したことを理由とする不利益な取扱いをしない旨を定め、労働者に周知する

特定技能の受入れ企業・登録支援機関が確認すること

厚生労働省と出入国在留管理庁は、令和8年5月14日付で、特定技能所属機関と登録支援機関あてに、この義務化を知らせる文書を出しています。文書は、求職者等に対するセクシュアルハラスメントに、特定技能外国人を含むすべての労働者と求職者等に対するものが含まれるとしています。

面談をオンラインで行う場合も、指針は、オンライン上で行われる求職活動等を対象に含めています。面談を担当する自社の労働者が、面談の時間や使うSNSのルールを知っているかが、実務上の確認点になります。

このページは、公表されている指針とリーフレットの内容の整理です。自社の規程の作り方や個別の事案の判断は、管轄の労働局や社会保険労務士に確認してください。当サイトは、個別の労務の助言をしません。

すでに雇っている労働者へのパワーハラスメント防止措置はパワーハラスメント防止措置のガイドで確認できます。

  • 求職者等へのセクハラを行ってはならない旨の方針を、就業規則などの文書に書いて労働者に周知した
  • 面接や説明会の担当者に、面談の時間・場所・使うSNSのルールを周知した
  • 求職者等が相談できる窓口を決め、募集の案内やホームページに載せた
  • 窓口の担当者が、人事部門と連携して対応できる手順を決めた
  • 相談者・行為者のプライバシーを守る手順と、協力した労働者への不利益な取扱いをしない旨を定めた

よくある質問

求職者等へのセクシュアルハラスメント防止措置は、いつから義務ですか?

令和8年10月1日からです。厚生労働省のハラスメント防止のページと、特定技能所属機関・登録支援機関あての文書が、同日の施行を示しています。

応募者や説明会の参加者が、まだ雇っていない外国人でも対象になりますか?

求職者等は、求人に応募する人と、採用に資する活動に参加する人を含みます。特定技能所属機関あての文書は、特定技能外国人を含むすべての労働者と求職者等に対するものが含まれるとしています。

オンライン面談でも措置の対象ですか?

指針は、SNSなどのオンラインを介したものや、オンライン上で行われる求職活動等も対象に含まれるとしています。

相談窓口は人事担当者でなければいけませんか?

指針は、相談窓口の担当者として人事担当者以外の者を指定することも考えられるとしています。担当者を定める、制度を設ける、外部の機関に委託する、のいずれも窓口を定めている例とされています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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