この記事の対象:工場に産業用ロボットを導入し、特定技能外国人を教示・検査・掃除などの作業に配置する企業の人事・労務・安全衛生担当者
可動範囲内での教示等は、規程と異常時の停止措置と表示が要る
ロボットの動作を設定したり確認したりする教示等の作業は、不意の作動と誤操作を防ぐ措置を講じて行います。
労働安全衛生規則第150条の3は、産業用ロボットの可動範囲内で教示等の作業を行うとき、事業者が3つの措置を講じることを求めています。ただし第1号と第2号は、駆動源を遮断して作業を行うときは適用されません。
第1号は、操作の方法と手順、作業中のマニプレータの速度、複数の労働者で作業するときの合図の方法、異常時の措置、異常で停止した後に再起動するときの措置などを規程に定め、それに従って作業させることです。第2号は、作業をする者か監視する者が、異常時に直ちに運転を停止できるようにすることです。第3号は、起動スイッチ等に作業中である旨を表示して、作業をする者以外が操作できないようにすることです。
| 号 | 措置 | 駆動源を遮断して作業するとき |
|---|---|---|
| 第1号 | 操作の方法と手順・マニプレータの速度・合図の方法・異常時の措置・再起動の措置などの規程を定め、それにより作業させる | 適用されない |
| 第2号 | 異常時に直ちに運転を停止できるようにする措置 | 適用されない |
| 第3号 | 起動スイッチ等に作業中の旨を表示し、作業従事者以外の操作を防ぐ措置 | 適用される |
運転中は、接触の危険があればさくや囲いを設ける
教示等ではない通常の運転では、人がロボットに触れない仕組みを求めています。
第150条の4は、産業用ロボットを運転する場合に、ロボットに接触することで労働者に危険が生ずるおそれがあるときは、さくまたは囲いを設けるなど、危険を防止するために必要な措置を講じることを求めています。
対象から除かれるのは、教示等のために運転する場合と、運転中に次条(第150条の5)の検査等の作業をしなければならない場合に運転するときです。この2つは、それぞれ第150条の3と第150条の5の措置で守ります。
検査・修理・調整・掃除・給油は、運転を止めて起動スイッチに錠をかける
教示等に当たらない保守の作業は、原則として運転を停止し、他の人が起動できないようにして行います。
第150条の5は、可動範囲内でロボットの検査、修理、調整(教示等を除く)、掃除、給油、またはその結果の確認を行うとき、運転を停止し、作業の間は起動スイッチに錠をかけ、作業中である旨を表示するなどして、作業をしている者以外が操作できないようにすることを求めています。
ただし、運転中に作業をしなければならない場合は、規程を定めて作業させること(操作の方法と手順、合図の方法、異常時の措置、再起動の措置など)、異常時に直ちに停止できるようにすること、運転状態を切り替えるスイッチ等に作業中の表示をすることの3つの措置を講じれば、運転を止めずに行えます。第150条の3と異なり、この規程にマニプレータの速度の項目は含まれません。
教示等と運転中の検査等には、特別教育が必要
ロボットの可動範囲内に入る一部の業務は、労働安全衛生規則第36条で特別教育の対象とされています。
第36条第31号は、産業用ロボットの可動範囲内で行う教示等(駆動源を遮断して行うものを除く)と、その労働者と共同して可動範囲外で行う機器の操作の業務を、特別教育の対象としています。研究開発中のものなど、厚生労働大臣が定めるものは産業用ロボットから除かれます。
第32号は、可動範囲内で行う検査・修理・調整とその結果の確認のうち、運転中に行うものと、その労働者と共同して可動範囲外で行う機器の操作の業務を、特別教育の対象としています。駆動源を遮断し運転を止めて行う保守は、この号の対象ではありません。
- 可動範囲内での教示等の規程(手順・速度・合図・異常時・再起動)を定めている
- 異常時に直ちに運転を停止できる措置がある
- 起動スイッチ等に作業中の表示をし、他の人が操作できないようにしている
- 運転中に人が接触するおそれのある場所に、さくや囲いを設けている
- 教示等や運転中の検査等に就く人に特別教育を行っている
よくある質問
ロボットの電源を切って掃除をする場合も、特別教育は要りますか?
第36条第32号の特別教育は、検査・修理・調整とその確認のうち、運転中に行うものが対象です。運転を停止して行う場合は同号の対象ではありませんが、第150条の5の運転停止と起動スイッチの錠・表示などの措置は必要です。なお第32号の対象は検査・修理・調整とその確認で、掃除と給油は含まれません。
どのロボットが「産業用ロボット」になりますか?
第36条第31号は、マニプレータと記憶装置を有し、記憶装置の情報に基づいてマニプレータの伸縮、屈伸、上下移動、左右移動、旋回などの動作を自動的に行える機械と定めています。研究開発中のものなど、厚生労働大臣が定めるものは除かれます。個別の機械が該当するかは、労働基準監督署などに確認してください。
さくや囲いは、必ず設けるのですか?
第150条の4は、運転中にロボットに接触して労働者に危険が生ずるおそれがあるときに、さくや囲いを設けるなどの必要な措置を求めています。接触の危険がない場合まで一律に求める条文ではありません。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第150条の3(教示等)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年1月20日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第150条の4(運転中の危険の防止)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月1日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第150条の5(検査等)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月2日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第36条第31号・第32号(特別教育)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年2月3日)