この記事の対象:飲食料品の製造・包装・販売の現場に特定技能外国人を配置する企業の品質管理・総務担当者
表示が義務の9品目と、推奨の20品目
容器や包装に入れた加工食品を売るとき、食品表示基準は、特定原材料を含む旨の表示を義務としています。消費者庁は、症例数や重篤度を踏まえて、おおむね3年ごとの全国実態調査をもとに特定原材料を定めています。
令和8年(2026年)4月1日に、カシューナッツが特定原材料に加わりました。義務の対象は、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目です。消費者庁の事務連絡は、2年間の経過措置を設けたうえで、できる限り速やかに表示するよう求めています。
義務ではなく、表示を推奨する「特定原材料に準ずるもの」は、令和8年4月時点で20品目です。同じ事務連絡で、ピスタチオが新たに加わりました。過去には、くるみが特定原材料に加わり(令和5年3月)、マカダミアナッツが準ずるものに加わって、まつたけが外れています(令和6年3月)。
品目は改正されるため、包装資材やレシピの確認は、消費者庁の「食物アレルギー表示に関する情報」のページで最新の一覧を見てから行います。
| 区分 | 表示のきまり | 品目 |
|---|---|---|
| 特定原材料(9品目) | 表示が義務 | えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生 |
| 特定原材料に準ずるもの(20品目) | 表示を推奨(任意) | アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、ピスタチオ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン |
個別表示が原則:原材料と添加物の直後にかっこで書く
特定原材料を含む加工食品では、原材料名や添加物の物質名の直後に、かっこを付けて「含む」旨を表示するのが原則です。これを個別表示といいます。
食品表示基準第3条の表は、特定原材料を原材料として含む旨を、原則として原材料名の直後にかっこを付けて表示するよう定めています。特定原材料に由来する添加物は、添加物の物質名の直後に、その特定原材料に由来する旨を表示します。
消費者庁のハンドブックの例では、原材料は「マヨネーズ(卵を含む)」、添加物は「カゼインナトリウム(乳由来)」と書きます。「乳」を原材料に表示するときは、「乳成分を含む」と書きます。
表示できる面積に限りがあるなど、個別表示がなじまない場合は、例外として一括表示ができます。原材料欄の最後に「(一部に卵・小麦を含む)」のように、含まれるすべてを「・」でつないで書きます。個別表示と一括表示を組み合わせることはできません。
- 原材料と添加物を洗い出す
使う原材料と添加物のすべてについて、配合表と規格書で、特定原材料を含むかどうかを確かめます。
- 個別か一括かを選ぶ
原則は個別表示です。面積の都合などで個別表示がなじまないときだけ、一括表示を選び、1枚の表示では片方に統一します。
- 表示を読み合わせる
作った表示を、配合表とすべて照らし合わせ、抜けや書き間違いがないかを複数人で確認します。
省略できる表記と、省略できない表記
名称が違っても同じものと分かる表記は、特定原材料の表示に代えることができます。ただし、事故を防ぐため、省略を認めない表記があります。
ハンドブックは、「玉子」「たまご」のように表示方法が違っても同一と認められる表記を「代替表記」として、「卵」の表示に代えられるとしています。また、「小麦粉」のように特定原材料を含むことが明らかな表記は「拡大表記」といい、含む旨の表示を省略できます。
一方、卵白と卵黄は、卵を含んでいても、事故防止のため、含む旨の省略ができません。「卵白(卵を含む)」「卵黄(卵を含む)」のように表示します。一括表示をするときも、代替表記や拡大表記の特定原材料を含めて、すべてを書きます。
「入っているかもしれない」といった、単なる可能性の表示は認められていません。製造ラインで意図せず混ざる可能性が、洗浄などの対策を徹底しても消えない場合は、「本品製造工場では○○(特定原材料等の名称)を含む製品を生産しています。」のような注意喚起の表示が推奨されています。
精製が完全で、抗原性が認められないために、アレルギーを誘発しない食品(精製が完全な乳糖など)は、表示の義務が免除されます。
- 「卵白」「卵黄」に「(卵を含む)」を付けた
- 「入っているかもしれない」の表示を使っていない
- 意図しない混入の可能性が残る場合の注意喚起を、製造ごとに決めた
表示を誤ったときの指示・回収・罰則
食品表示法第5条は、食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売を禁じています。アレルゲンの表示は、特に重い対応の対象です。
表示事項が表示されていない食品を売った事業者には、内閣総理大臣などが指示でき(第6条第1項)、指示に従わないと、命令の対象になります(同条第5項)。命令に違反した人は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第20条)。法人には、1億円以下の罰金が科されることがあります(第22条)。
アレルゲンなど、食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項として内閣府令で定めるものについて、基準に従った表示がされていない食品を売った人は、命令を待たずに、2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその併科の対象です(第18条)。
アレルゲンについて基準に従った表示がされていない食品を売るか、売ろうとしている場合で、消費者の生命や身体への危害の発生・拡大を防ぐ緊急の必要があるときは、内閣総理大臣が、回収その他の措置を命じ、または期間を定めて業務の全部や一部の停止を命じることができます(第6条第8項)。
命令を受けずに自主的に回収する場合も、一定の例外を除いて、遅滞なく、回収に着手した旨と回収の状況を内閣総理大臣に届け出ます。届出は公表され(第10条の2)、届出をしない、または虚偽の届出をした人は、50万円以下の罰金です(第21条第3号)。
この表示が対象になる食品と、外国人従業員への伝え方
食品表示基準第3条は、容器包装に入れられた加工食品のうち、業務用加工食品を除く一般用加工食品を、設備を設けて飲食させる場合を除いて販売する際の表示を定めています。
製造所で包装して売る食品や、弁当・惣菜を包装して売る食品は、この条の対象です。店内で飲食させる外食の情報提供は、この条の対象から除かれ、消費者庁の同ページで別の項目として扱われているため、このガイドでは扱いません。
製造や包装の現場に配置する人には、品目の一覧、個別表示の書き方、卵白・卵黄の例外、混入を防ぐ洗浄の手順を、作業の前に実物のラベルで説明します。品目は改正されるため、配置の前と、改正の通知があったときに、最新の一覧で伝え直します。
よくある質問
アレルギー表示が義務の食品は、何品目ですか?
令和8年4月時点で9品目です。えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生が、食品表示基準の特定原材料です。
カシューナッツの表示は、いつから必要ですか?
令和8年4月1日に特定原材料に追加され、2年間の経過措置が設けられています。消費者庁は、できる限り速やかに表示するよう求めています。
個別表示と一括表示は、混ぜて使えますか?
混ぜて使うことはできません。原則は個別表示で、個別表示がなじまない場合に限り、原材料欄の最後に「(一部に〇〇を含む)」と一括して書きます。
「入っているかもしれない」と書いてもよいですか?
単なる可能性の表示は認められていません。混入の可能性が残る場合は、同じ工場で特定原材料を使った製品を作っている旨の注意喚起を、推奨されています。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「食品表示法」第5条・第6条・第10条の2・第20条〜第22条(基準の遵守、指示・命令、回収の届出、罰則)(確認日:2026年10月21日、次回確認:2027年1月21日)
- e-Gov法令検索「食品表示基準」第3条(横断的義務表示・アレルゲン)(確認日:2026年10月21日、次回確認:2027年1月21日)
- 消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」(特定原材料の経緯・外食中食の項目)(確認日:2026年10月21日、次回確認:2027年2月19日)
- 消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック(事業者用)令和8年4月」(確認日:2026年10月21日、次回確認:2027年2月20日)
- 消費者庁食品表示課「アレルゲンを含む食品に関する表示について」(令和8年4月1日事務連絡)(確認日:2026年10月21日、次回確認:2027年2月21日)