この記事の対象:漁業・養殖業で特定技能外国人を受け入れる漁業者や漁協、派遣事業者の担当者、旧試験の合格証明書を持つ候補者の在留手続を準備する担当者
試験名の変更:漁業技能測定試験から漁業特定技能評価試験へ
出入国在留管理庁の漁業分野の運用要領は、令和8年10月15日の改正で、技能水準を確認する試験の名称を改めました。
改正前は「1号漁業技能測定試験(漁業)」「1号漁業技能測定試験(養殖業)」と「2号漁業技能測定試験(漁業)」「2号漁業技能測定試験(養殖業)」でした。改正後の運用要領には、「1号漁業特定技能評価試験(漁業)」「1号漁業特定技能評価試験(養殖業)」と、「2号漁業特定技能評価試験(漁業)」「2号漁業特定技能評価試験(養殖業)」の名称が並びます。
運用要領は、1号の漁業区分の試験を、漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保を行えるレベルを認定するものと説明しています。養殖業区分は、養殖資材の製作・補修・管理、育成管理、収獲・処理、安全衛生の確保が対象です。
試験の名称が変わっても、区分は漁業と養殖業の2つのままです。申請書類や社内資料に旧名称が残っている場合は、次の経過措置を確認します。
| 区分 | 旧名称 | 新名称 |
|---|---|---|
| 1号・漁業 | 1号漁業技能測定試験(漁業) | 1号漁業特定技能評価試験(漁業) |
| 1号・養殖業 | 1号漁業技能測定試験(養殖業) | 1号漁業特定技能評価試験(養殖業) |
| 2号・漁業 | 2号漁業技能測定試験(漁業) | 2号漁業特定技能評価試験(漁業) |
| 2号・養殖業 | 2号漁業技能測定試験(養殖業) | 2号漁業特定技能評価試験(養殖業) |
旧試験の合格者の扱い:新しい試験に合格したものとみなす
運用要領の経過措置は、旧試験に合格した人を新しい試験の合格者として扱います。
経過措置の文言は、令和5年6月9日の閣議決定による変更前の運用方針と、令和8年1月23日の閣議決定による廃止前の運用方針に掲げる試験のうち、表の左欄の試験に合格した人は、右欄の試験に合格したものとみなす、というものです。1号・2号の付かない旧名称の漁業技能測定試験(漁業)の合格者は、1号漁業特定技能評価試験(漁業)の合格者として、養殖業も同様に扱われます。
このため、旧名称の合格証明書を持つ候補者は、みなし規定により、原則として受験し直しを前提にしなくてよいと考えられます。個別の書類の扱いは、運用要領の提出書類一覧と出入国在留管理局の案内で確認します。
1号と2号の要件:日本語の水準と2号の実務経験
名称変更とは別に、改正後の運用要領は2号の日本語水準を「日本語教育の参照枠」のB1相当以上と明記しています。
1号の日本語は、分野別運用方針で「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の水準と認められるものとされています。2号は、評価試験の合格に加えて、実務経験が2年以上必要です。
漁業区分は漁船法上の登録を受けた漁船で、操業を指揮監督する者を補佐する人または作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する人としての経験です。養殖業区分は、漁業法と内水面漁業の振興に関する法律に基づく養殖業の現場で、養殖を管理する人を補佐する人または作業員を指導しながら作業工程を管理する人としての経験です。
2号の日本語は、B1相当以上で、日本語能力試験(JLPT)N3以上の合格が示されています。ただし、CEFRのB1相当以上と判定された場合に限る、という注記があります。運用要領は、令和9年4月1日以降、特定技能2号ではB1相当以上が求められるが、その取扱いは別途お知らせすると書いています。
特定技能所属機関には、外国人からの求めに応じて、実務経験を証明する書面を交付することが、分野別運用方針で求められています。2号の実務経験を示すときにも関わるため、日ごろの記録を整えておくと書面を作りやすくなります。
2号の評価試験を分野ごとに比べるときは、2号評価試験の分野別ガイドで確認できます。
派遣形態の留意事項と育成・キャリア形成プログラムの章
今回の改正では、派遣に関する留意事項の追記と、運用要領の第5章の新設も行われました。
漁業分野は、労働者派遣形態でも受け入れられます。運用要領は、労働者派遣については、特定技能外国人受入れに関する運用要領第5章第1節第1(5)および第2節第1(12)の基準にも適合していることが求められる、という留意事項を追加しました。
派遣事業者の要件は、次の3つのいずれかに該当し、かつ、法務大臣が農林水産大臣と協議の上で適当であると認める者であることです。3つは、漁業または漁業に関連する業務を行っている人であること、地方公共団体や漁業に関連する業務を行っている人が資本金の過半数を出資していること、地方公共団体の職員や漁業に関連する業務を行っている人の役職員が役員であることなど業務執行に実質的に関与していること、です。
第5章「育成・キャリア形成プログラム」は新設です。運用要領は、漁業分野の育成プログラムは特定技能制度と育成就労制度を通貫したものを基本とし、外国人が自分のキャリアを見通して技能の向上を予見できるものとし、受け入れる側が計画的に育成・評価を行うための指針になる、と説明しています。プログラムは水産庁のホームページに掲載されるため、適切に参照し活用するよう求めています。
漁業分野の雇用形態と固有の費用は、漁業分野のガイドで確認できます。
- 書類や社内資料に旧名称(漁業技能測定試験)が残っていないか確認した
- 候補者の合格証明書が旧名称の場合、経過措置でみなされることを確認した
- 2号を目指す人の実務経験(2年以上)と、B1相当の日本語の見通しを確認した
- 派遣形態の場合、派遣事業者の要件と運用要領第5章の基準への適合を確認した
- 水産庁のホームページに掲載される育成プログラムを確認した
よくある質問
漁業技能測定試験の合格証明書は、今も使えますか?
運用要領の経過措置は、旧運用方針に掲げる試験の合格者を、新しい試験に合格したものとみなすとしています。個別の書類の扱いは、出入国在留管理局の案内で確認してください。
2号の日本語は、いつからB1相当以上になりますか?
改正後の運用要領は2号の日本語水準をB1相当以上とし、試験としてJLPT N3以上を挙げています。令和9年4月1日以降は2号でB1相当以上が求められるとされ、取扱いの詳細は別途お知らせされる予定です。
2号に必要な実務経験は何年ですか?
漁業区分も養殖業区分も、2年以上です。漁業は登録を受けた漁船、養殖業は漁業法などに基づく養殖業の現場での経験が対象です。
育成・キャリア形成プログラムはどこで見られますか?
運用要領は、漁業分野のプログラムは水産庁のホームページに掲載されるとしています。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁 運用要領 漁業分野の基準の一部改正について(令和8年10月15日)(確認日:2026年10月24日、次回確認:2027年1月27日)
- 出入国在留管理庁「漁業分野」(確認日:2026年8月4日、次回確認:2026年11月4日)
- 出入国在留管理庁「分野別情報」(確認日:2026年10月29日、次回確認:2026年11月5日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「特定技能制度及び育成就労制度の分野別協議会について」(確認日:2026年8月10日、次回確認:2026年11月10日)