この記事の対象:特定技能外国人を受け入れる、または受け入れを考えている農業の経営者と、安全衛生を担当する人
令和6年の農作業死亡事故は287人:前年から51人の増加
農林水産省は、毎年の農作業中の死亡事故を、厚生労働省の人口動態調査の死亡個票等を使って集計し、公表しています。
令和6年(1月1日から12月31日)の農作業事故の死亡者は287人で、前年より51人増えました。農林水産省の農作業安全対策のページは、農業では毎年250件前後の農作業中の死亡事故が発生しているとしています。
事故は3つの区分に分けて集計されます。農業機械作業に係る事故(機械事故)が156人(54.4%)、農業用施設作業に係る事故(施設事故)が15人(5.2%)、機械・施設以外の作業に係る事故が116人(40.4%)でした。農林水産省の資料によると、3つの区分とも前年より増えています。
この統計は、農業で働く人全体の死亡事故です。65歳以上が248人(86.4%)、うち80歳以上が122人(42.5%)、70〜79歳が103人(35.9%)を占め、男性が241人(84.0%)です。特定技能外国人に限った数字ではありません。
| 年 | 死亡者数 | 機械事故 | 施設事故 | 機械・施設以外 |
|---|---|---|---|---|
| 令和2年 | 270 | 186 | 8 | 76 |
| 令和3年 | 242 | 171 | 7 | 64 |
| 令和4年 | 238 | 152 | 5 | 81 |
| 令和5年 | 236 | 147 | 6 | 83 |
| 令和6年 | 287 | 156 | 15 | 116 |
機械事故156人の機種別:乗用型トラクターが最多
機械事故を機種別に見ると、乗用型トラクターが53人で最も多くなっています。
乗用型トラクターは機械事故全体の34.0%です。次いで、農用運搬車(軽トラックを含む)が26人(16.7%)、自脱型コンバインが17人(10.9%)で、この3機種で機械事故全体の61.5%を占めています。
乗用型トラクターの死亡者数は、令和2年が81人、3年が58人、4年が62人、5年が61人、6年が53人です。表では、農林水産省の資料の「その他」に、田植機などと機種が分からない場合が含まれます。
| 機種 | 死亡者数 | 機械事故に占める割合 |
|---|---|---|
| 乗用型トラクター | 53人 | 34.0% |
| 農用運搬車(軽トラックを含む) | 26人 | 16.7% |
| 自脱型コンバイン | 17人 | 10.9% |
| 歩行型トラクター | 11人 | 7.1% |
| 動力防除機 | 11人 | 7.1% |
| 草刈機 | 7人 | 4.5% |
| 農用高所作業機 | 5人 | 3.2% |
| その他(田植機等、機種不明を含む) | 26人 | 16.7% |
機械事故の原因別:機械の転落・転倒が半数を超える
原因別では、機械の転落・転倒が82人で、機械事故全体の52.6%を占めています。
転落・転倒82人の内訳は、ほ場等が57人(36.5%)、道路からが25人(16.0%)です。続いて、挟まれが27人(17.3%)、ひかれが19人(12.2%)、回転部等への巻き込まれが17人(10.9%)でした。
機種ごとに見ても、転落・転倒が最多です。乗用型トラクターでは38人(71.7%)、農用運搬車では12人(46.2%)、自脱型コンバインでは10人(58.8%)でした。農用運搬車は、ひかれが6人(23.1%)で2番目、自脱型コンバインは、ひかれが3人(17.6%)で2番目です。
| 原因 | 死亡者数 | 機械事故に占める割合 |
|---|---|---|
| 機械の転落・転倒(ほ場等57人、道路から25人) | 82人 | 52.6% |
| 挟まれ | 27人 | 17.3% |
| ひかれ | 19人 | 12.2% |
| 回転部等への巻き込まれ | 17人 | 10.9% |
| 機械からの転落 | 4人 | 2.6% |
| 道路上での自動車との衝突 | 2人 | 1.3% |
| その他 | 5人 | 3.2% |
熱中症59人と夏の集中:機械・施設以外の事故の半数
機械・施設以外の事故116人のうち、最も多いのは熱中症で、59人(50.9%)でした。
熱中症の死亡者は、前年の37人から22人増えました。この22人は、全体の増加分51人の43.1%にあたります。次に多いのは、ほ場や道路からの転落で、19人(16.4%)です。
月別では、7月が58人(20.2%)、8月が46人(16.0%)、9月が30人(10.5%)で、夏に集中しています。施設事故15人では、作業舎の屋根などの高所からの墜落・転落が5人(33.3%)で最も多く、落下物とCO2ガス等によるものがそれぞれ2人でした。
厚生労働省は、令和7年6月1日から、労働者を雇用するすべての事業者に熱中症対策を義務づけました。農林水産省は、労働者を雇用する農業者は法人か家族経営かを問わず対象になるとして、掲示用の「張り紙」のひな型を作成し、周知しています。
熱中症対策の具体的な内容は、熱中症予防のガイドで確認できます。
| 月 | 死亡者数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 7月 | 58人 | 20.2% |
| 8月 | 46人 | 16.0% |
| 9月 | 30人 | 10.5% |
統計を受入れ企業の安全指導につなげる:最初に伝える内容
令和6年の統計で最も多かった、機械の転落・転倒と熱中症が、最初に外国人の従事者へ伝える内容の候補になります。
農林水産省の作業安全ステッカーには、農業向けに「シートベルト&安全フレームで安全ヨシ!」と「路肩の踏み外しにご注意!」、全業種共通で「熱中症にご注意!」があります。機械の転落・転倒と熱中症に関わる標語です。
ここに挙げた統計は、事故の傾向を知るための資料で、特定技能外国人の事故の件数ではありません。受入れ企業の法令上の義務は、雇入れ時の安全衛生教育や熱中症対策などの個別のガイドで確認してください。
農林水産省の作業安全規範の位置づけは、作業安全規範のガイドで確認できます。
- 運転を任せる機械について、シートベルトと安全フレームを使うことを、運転の前に本人へ伝えた
- 路肩の踏み外しに注意が必要な場所を、本人に見せて伝えた
- 熱中症対策の義務の内容を確認し、本人に伝わる形で掲示した
- 夏(特に7月から9月)の作業時間と休憩の取り方を、本人と話し合った
よくある質問
農作業の死亡事故は、1年に何人ですか?
農林水産省の調査では、令和6年は287人で、前年(236人)より51人増えました。令和2年から5年までは270人、242人、238人、236人です。
農作業の死亡事故で最も多いのは、どの事故ですか?
令和6年は、農業機械作業に係る事故が156人(54.4%)で最多です。機種別では乗用型トラクターが53人、原因別では機械の転落・転倒が82人で最も多くなっています。
農作業中の熱中症で亡くなった人は、何人ですか?
令和6年は59人で、前年の37人から22人増えました。機械・施設以外の事故116人の50.9%にあたります。
この統計は、特定技能外国人の事故の数ですか?
いいえ。農業で働く人全体の死亡事故の統計です。65歳以上が248人(86.4%)を占め、外国人や特定技能に限った区分はありません。
参照した公的一次資料
- 農林水産省「令和6年に発生した農作業死亡事故の概要」(確認日:2026年10月25日、次回確認:2027年1月25日)
- 農林水産省「農作業安全をめぐる情勢(令和8年4月)」(確認日:2026年10月25日、次回確認:2027年1月25日)
- 農林水産省「農作業安全対策」(確認日:2026年10月25日、次回確認:2027年1月25日)
- 農林水産省「農林水産業・食品産業の現場の作業安全対策」(確認日:2026年10月25日、次回確認:2027年1月25日)