この記事の対象:特定技能外国人の賃金を決める受入れ企業の担当者、登録支援機関の担当者
第4条は、女性であることを理由とした賃金の差別的取扱いの禁止
労働基準法第4条は、使用者が、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならないと定めています。第3条の国籍による差別の禁止とは、理由と対象が異なります。
条文は、国籍に関係なくすべての労働者に適用されます。特定技能外国人にも、日本人の労働者と同じ規定がそのまま当てはまります。
下の表は、第3条と第4条を、e-Gov法令検索の条文から並べたものです。罰則は、どちらも第119条第1号で、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。
第3条の条文と基準省令との違いは、国籍を理由とする差別の禁止:労働基準法第3条と基準省令の違いで確認できます。
| 条 | 差別の理由 | 差別が禁じられる対象 | 罰則 |
|---|---|---|---|
| 第3条(均等待遇) | 労働者の国籍、信条または社会的身分 | 賃金、労働時間その他の労働条件 | 第119条第1号:6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 第4条(男女同一賃金の原則) | 労働者が女性であること | 賃金 | 第119条第1号:6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
第4条の「賃金」は、第11条の定義に沿って名称を問わない
第11条は、賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいうと定めています。
第4条の対象は、基本給だけに限られません。手当や賞与のように名称が違っても、労働の対償として使用者が支払うものは、第11条の賃金に当たります。
条文は、名称ではなく、労働の対償として使用者が支払うものかどうかで範囲を定めています。個別の項目の判断は、労働基準監督署や社会保険労務士などに確認してください。
男女雇用機会均等法第6条の列挙事項に、賃金は入っていない
男女雇用機会均等法第6条は、事業主が労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはならない事項を、4つの号で列挙しています。賃金は、この号には挙がっていません。
第6条の4つの号は、配置(業務の配分と権限の付与を含む)・昇進・降格・教育訓練、住宅資金の貸付けなどの福利厚生の措置で厚生労働省令で定めるもの、職種と雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新です。
賃金について性別を理由とする差別を禁じる規定は、労働基準法第4条です。同じ性別による差別でも、賃金は労働基準法、配置や昇進などは均等法、というように条文が分かれています。
均等法第5条は、労働者の募集と採用について、性別にかかわりなく均等な機会を与えることを事業主に求めています。
特定技能の基準省令にも、報酬についての2つの定めがある
特定技能雇用契約の基準を定める省令の第1条第1項は、外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること(第3号)と、外国人であることを理由とした報酬の決定などでの差別的取扱いをしていないこと(第4号)を求めています。
第4条は性別、基準省令は外国人であることが理由です。理由が違うため、2つの定めは別々に確認が必要です。
有期雇用やパートタイムの労働者の待遇については、パートタイム・有期雇用労働法に別の規定があります。同一労働同一賃金の扱いは、別のガイドで扱っています。
日本人との報酬の比べ方は、日本人と同等以上の報酬の比べ方で確認できます。
受入れ企業が点検する項目と、事業主に及ぶ罰則
第121条は、違反行為をした従業者だけでなく、事業主にも罰金刑を科すと定めています。ただし、事業主が違反の防止に必要な措置をした場合は、この限りではありません。
事業主に罰金刑が科されるかどうかは、違反の防止に必要な措置をしていたかどうかで分かれます。第121条の但書の「必要な措置」の中身は条文に書かれていないため、個別の対応は専門家に確認してください。
点検は、条文に照らした自己確認です。個別の事案が違反に当たるかどうかの判断や、賃金の見直しの方法は、労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家に確認してください。
事業主に及ぶ罰則の全体は、労働基準法の労働者・使用者・賃金の定義と両罰規定で確認できます。
- 賃金表や手当の支給基準に、性別によって差を付ける定めがないか
- 同じ仕事・同じ条件の男女の間で、賃金に差がないか
- 日本人と外国人の間で、報酬に差がないか(基準省令の確認)
- 手当や賞与の支給条件が、実態として性別で運用されていないか
- 雇用契約書と賃金台帳の金額が、支給基準と一致しているか
よくある質問
労働基準法第4条は、何を禁じていますか?
使用者が、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをすることです。違反には、第119条第1号により6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています。
第4条の「賃金」には、手当や賞与も含まれますか?
第11条は、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものを賃金としています。個別の項目の判断は、労働基準監督署などに確認してください。
男女雇用機会均等法は、賃金の差別も禁じていますか?
均等法第6条の4つの号に、賃金は挙がっていません。賃金の性別による差別の禁止は、労働基準法第4条に定められています。
第4条は、特定技能外国人にも適用されますか?
第4条は、国籍で区別せず労働者に適用される規定で、第4条に特定技能外国人だけを対象にした別の定めはありません。報酬についての特定技能固有の基準は、基準省令にあります。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- e-Gov法令検索「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和47年法律第113号)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年4月13日)
- e-Gov法令検索「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(確認日:2026年10月6日、次回確認:2026年12月6日)
- e-Gov法令検索「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(確認日:2026年10月15日、次回確認:2027年1月15日)