この記事の対象:雇用保険に加入している特定技能外国人の学び直しや資格取得を支援する企業の人事・労務担当者

教育訓練給付金とは:受講費用の一部が戻る雇用保険の給付

教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了したとき、本人が支払った教育訓練経費の一部をハローワークが支給する雇用保険の給付です。

厚生労働省は、働く人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的とした制度と説明しています。対象は雇用保険の被保険者(在職者)と、被保険者だった人(離職者)です。

給付を受けるのは受講した本人です。事業主が受け取る助成金とは別の制度です。

対象の講座は、教育訓練給付金厚生労働大臣指定教育訓練講座検索システムで探せます。講座が指定を受けているかどうかは、申込み前にこのシステムで確かめる必要があります。

企業が受け取る側の助成は、人材開発支援助成金のガイドで整理しています。

3種類の給付率と上限額:専門実践は最大80%・年間64万円

対象の教育訓練は専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類で、給付率と上限額が異なります。

専門実践教育訓練は、中長期的なキャリア形成に資する訓練です。教育訓練経費の50%(年間上限40万円)が、訓練受講中に6か月ごとに支給されます。資格取得などをして修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、すでに受けた分との差額が加わって70%(年間上限56万円)、さらに修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇した場合は80%(年間上限64万円)になります。

特定一般教育訓練は、速やかな再就職と早期のキャリア形成に資する訓練です。教育訓練経費の40%(上限20万円)が修了後に支給されます。資格取得などをして修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は50%(上限25万円)になります。

一般教育訓練は、その他の雇用の安定と就職の促進に資する訓練で、教育訓練経費の20%(上限10万円)が修了後に支給されます。20%に相当する額が4千円を超えない場合は支給されません。

専門実践で70%・80%、特定一般で50%に上がる加算が使えるのは、令和6年10月以降に開講する講座です。

教育訓練給付金の種類別の給付率と上限額
種類基本の給付率と上限加算後の給付率と上限
専門実践教育訓練50%(年間40万円)70%(年間56万円)、賃金5%以上上昇で80%(年間64万円)
特定一般教育訓練40%(20万円)50%(25万円)
一般教育訓練20%(10万円)加算なし

支給要件:受講開始日までの被保険者期間が3年以上(初回は1年以上)

受講を始める日(受講開始日)の時点で、雇用保険の被保険者として雇用された期間(支給要件期間)が3年以上あることが基本です。

対象になるのは、受講開始日に被保険者である人か、被保険者でなくなった日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内の人です。どちらも支給要件期間が3年以上必要です。初めて教育訓練給付金を受ける人は、当面の間、支給要件期間が1年以上あれば対象になります。

支給要件期間は、受講開始日までに同一の事業主のもとで引き続いて被保険者として雇用された期間です。前の事業主のもとの期間との空白が1年以内なら、両方を通算します。

過去に教育訓練給付金を受けたことがある場合、そのときの受講開始日より前の期間は通算しません。一般教育訓練給付金は、今回の受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金を受けたことがあると支給されません。同時に複数の講座について支給申請をすることもできません。

離職から1年以内という期間は、妊娠、出産、育児、疾病、負傷などで受講が困難な期間が30日以上続いたとき、ハローワークへの申出で延長できます。

ここに挙げた条件は雇用保険の被保険者であることと支給要件期間に関するものです。特定技能外国人の個別の受給可否は、住所を管轄するハローワークに確認してください。

手続:一般・特定一般は修了日の翌日から1か月以内に管轄のハローワークへ

一般教育訓練と特定一般教育訓練の支給申請は、訓練修了日の翌日から起算して1か月以内に、原則として本人の住所を管轄するハローワークに行います。

申請は本人または代理人の来所、電子申請、郵送のいずれかです。郵送の場合も1か月以内で、消印が有効です。専門実践教育訓練は6か月ごとの支給など申請の単位が異なるため、期限と手続は管轄のハローワークに確認してください。

対象になる教育訓練経費は、教育訓練実施者に支払った入学料と受講料の合計です(一般教育訓練は最大1年分)。検定試験の受講料、必ずしも必要でない補助教材費、交通費、パソコンなどの器材の費用は含まれません。割引が適用された場合は割引後の額、事業主から入学料や受講料に充てる手当を受けた場合はその額を差し引いた額で申請します。

特定一般教育訓練は、受講開始前に訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードの交付を受ける必要があります。受給資格確認票とジョブ・カードを、受講開始日の2週間前までにハローワークへ提出します。修了後に資格取得などをして雇用され、50%への加算を受ける場合は、雇用された日(資格取得より先に雇用されていた場合は資格取得日)の翌日から1か月以内に、別の支給申請が必要です。

偽りその他不正の行為で受給した場合は、受給額の返還と、返還額の2倍の金額の納付が命じられることがあります。企業が受講費用を負担したり手当を出したりする場合は、本人の申請内容と食い違わないよう、受講前に取扱いを決めておきます。

  • 講座が教育訓練給付金の指定講座かを検索システムで確認した
  • 受講開始日までの支給要件期間が3年以上(初回は1年以上)あるかを確認した
  • 特定一般教育訓練は、受講開始日の2週間前までの手続(訓練前キャリアコンサルティング)の予定を立てた
  • 一般・特定一般は修了日の翌日から1か月の申請期限をカレンダーに入れた
  • 企業が負担する費用や手当がある場合は、教育訓練経費から差し引く取扱いを確認した

よくある質問

教育訓練給付金は企業が受け取るお金ですか?

いいえ。受講した本人が、自分で支払った教育訓練経費の一部をハローワークから受け取る雇用保険の給付です。

雇用保険に入って1年の人でも対象になりますか?

初めて教育訓練給付金を受ける人は、当面の間、支給要件期間が1年以上あれば対象になります。2回目以降は3年以上が必要で、前回の受講開始日より前の期間は通算されません。

退職した後でも受講できますか?

受講開始日が離職日の翌日から1年以内で、支給要件期間があれば対象になります。妊娠、出産、育児、疾病、負傷などで受講が難しい期間があれば、延長を申し出られます。

受給できるかどうかは、この記事で確定できますか?

確定できません。受給の可否や額は雇用保険の加入記録や講座の指定状況で変わるため、本人の住所を管轄するハローワークに確認してください。

参照した公的一次資料

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