この記事の対象:特定技能外国人の解雇を検討する受入れ企業の人事・労務担当者、トラブル時の相談を受ける登録支援機関の担当者
予告なしで解雇できるのは、除外事由があり認定を受けたとき
労働基準法第20条第1項は、解雇する場合に少なくとも30日前の予告か、30日分以上の平均賃金の支払いを求めています。ただし書きは、2つの場合にこの定めを外しています。
ただし書きで外れるのは、次の2つの場合です。天災事変その他やむを得ない事由で事業の継続が不可能になった場合と、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合です。
厚生労働省のQ&Aは、除外事由があるかどうかは労働基準監督署長の認定が必要だと説明しています(労働基準法第20条第3項)。社内で懲戒解雇と決めただけでは、認定を受けたことになりません。
認定は、解雇予告の除外事由に当たる事実があるかを確認するものです。岩手労働局の資料は、認定が民事上の解雇の有効性に影響を与えるものではないと注記しています。
| 除外事由 | 認定の様式 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合 | 様式第2号 | 労働基準法第20条第1項ただし書前段・施行規則第7条 |
| 労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合 | 様式第3号 | 労働基準法第20条第1項ただし書後段・施行規則第7条 |
「やむを得ない事由」は不可抗力で突発的なもの
岩手労働局の資料は、天災事変に準じる程度に不可抗力に基づき、かつ突発的な事由を指し、経営者として社会通念上とるべき措置をとっても通常どうにもならない状況だと説明しています。
資料は、事業場が火災で焼失した場合(事業主の故意や重大な過失があるときを除く)や、震災で工場が倒壊して事業の継続が不可能になった場合を、該当する例に挙げています。
該当しない例は、税金の滞納処分を受けて事業廃止に至った場合、事業経営上の見通しの誤りで資材や資金の入手が難しくなった場合、取引先が休業して発注がなくなり、事業が金融難に陥った場合などです。「事業の継続が不可能」とは、事業の全部または大部分が続けられなくなった場合を指し、少人数を解雇すれば従来どおり操業できる場合などは含まれません。
「労働者の責に帰すべき事由」は、重大または悪質なものが対象
厚生労働省のQ&Aは、監督署での認定は、昭和23年11月11日基発第1637号と昭和31年3月1日基発第111号に示された認定基準で判断すると説明しています。
認定基準に挙がる例は、会社内での窃盗・横領・傷害などの刑法犯に当たる行為、賭博や風紀を乱して他の労働者に悪影響を及ぼす行為、採用条件の要素となる経歴の詐称、他の会社への転職、2週間以上正当な理由なく無断欠勤して出勤の督促に応じない場合、遅刻や欠勤が多く数回注意されても改めない場合です。
Q&Aは、認定にあたって個々の例示にとらわれず総合的かつ実質的に判断され、就業規則に定めた懲戒解雇事由にも拘束されないとしています。岩手労働局の資料も、解雇予告の保護を与える必要のない程度に重大または悪質なものが対象だとしています。
特定技能外国人についても、条文は国籍で扱いを分けていません。認定を受けるかどうかや、事実の整理の仕方は、管轄の労働基準監督署に確認してください。当サイトは個別の事案への助言をしません。
予告も予告手当もない解雇は、第20条違反の罰則の対象になり得る
第20条の規定に違反した者には、罰則が定められています。認定を受けずに予告なしで解雇した場合の扱いは、解雇の前に労働基準監督署へ確認します。
第20条第1項本文は、30日前の予告をしない使用者に、30日分以上の平均賃金の支払いを求めています。予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合には、その日数分を短縮できます(同条第2項)。
第20条の規定に違反した者には、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められています(第119条第1号)。除外認定を受けたかどうか、受けられなかった場合に何を支払うかは、解雇の前に労働基準監督署に確認します。
認定の有無にかかわらず、解雇が民事上有効かどうかは別の問題です。具体的な解雇の進め方は、管轄の労働基準監督署に確認してください。
- 解雇の理由が、天災事変などの不可抗力か、本人の重大・悪質な行為かを整理したか
- 社内の懲戒解雇の決定と、監督署長の認定が別の手続きであることを確認したか
- 認定を受けられなかった場合の予告や平均賃金の支払いについて、労働基準法第20条第1項本文を確認したか
- 認定を受けても、民事上の解雇の有効性が別に問われ得ることを把握したか
- 申請の方法や必要書類を、管轄の労働基準監督署に確認したか
よくある質問
本人が悪いとき、予告なしで解雇できますか?
労働基準法第20条第1項ただし書は、労働者の責に帰すべき事由に基づく解雇を予告の定めの例外にしていますが、除外事由の有無には労働基準監督署長の認定が必要です(第20条第3項)。
就業規則に懲戒解雇と書いてあれば認定されますか?
厚生労働省のQ&Aは、認定は就業規則に定めた懲戒解雇事由に拘束されず、総合的かつ実質的に判断されるとしています。
認定を受ければ、解雇は有効になりますか?
岩手労働局の資料は、認定は解雇予告の除外事由に当たる事実を確認するもので、民事上の解雇の有効性に影響を与えるものではないとしています。
認定の様式は何ですか?
施行規則第7条により、事業の継続が不可能となった場合は様式第2号、労働者の責に帰すべき事由の場合は様式第3号で、所轄の労働基準監督署長から認定を受けます。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「労働基準法」(昭和22年法律第49号)(確認日:2026年10月8日、次回確認:2027年1月8日)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」第7条(解雇制限・解雇予告の除外認定の様式)(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年2月2日)
- 厚生労働省Q&A「即時解雇OK?解雇予告や予告手当の不要な場合はありますか?」(確かめよう労働条件)(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年4月13日)
- 岩手労働局「解雇予告除外認定申請について」(やむを得ない事由・責に帰すべき事由の説明)(確認日:2026年10月18日、次回確認:2027年1月18日)