この記事の対象:特定技能外国人が失踪や在留期限の超過に至ったときの制度の位置づけを知りたい受入れ企業の担当者、登録支援機関、再び受け入れる場合の入国できない期間を確かめたい人事担当者

制度の概要:収容されないまま、簡易な手続で出国する

出国命令制度は、入管法違反者のうち一定の要件を満たす不法残留者について、収容をしないまま簡易な手続により出国させる制度です。

入管庁のQ&Aは、出国命令制度を、入管法違反者のうち一定の要件を満たす不法残留者について、収容をしないまま簡易な手続により出国させる制度と説明しています。出国命令の対象者は、入管法第24条の3に定められています。

令和5年の入管法改正により、自ら出頭した場合に加えて、入国審査官から退去強制事由に該当すると認定される前に速やかに出国する意思を表明した場合も、対象に拡大されました。この拡大は令和6年(2024年)6月10日に施行されています。

出国命令では、主任審査官が15日を超えない範囲で出国期限を定め、出国命令書を交付します。住居や行動範囲の制限その他必要な条件が付けられることがあります。

対象者の要件:不法残留者で、5つの要件をすべて満たすこと

出国命令の対象は、不法残留者であることが前提で、そのうえで次の5つの要件をすべて満たす人です。

前提となる不法残留者は、入管法第24条第2号の4、第4号ロ、または第6号から第7号までのいずれかに該当する外国人です。入管庁は、要件のうち(1)のア又はイのいずれかを満たし、かつ(2)から(5)のすべてを満たす必要があると案内しています。

要件の(1)は、出頭した時期と意思の表明で分かれます。違反調査が始まる前に出国する意思で自ら出頭した場合がア、調査が始まった後でも、認定通知書を受ける前に出国する意思を表明した場合がイです。

出国命令の対象者の要件(入管庁の出国命令制度の概要)
要件内容
(1)ア違反調査の開始前に、速やかに出国する意思で自ら出入国在留管理官署に出頭したこと
(1)イ違反調査の開始後、入国審査官による認定通知書を受ける前に、速やかに出国する意思を表明したこと
(2)不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
(3)窃盗罪等の一定の罪により拘禁刑に処せられたものでないこと
(4)過去に日本から退去強制されたこと、または出国命令を受けて出国したことがないこと
(5)速やかに出国することが確実と見込まれること

出頭から出国までの流れと、出頭の注意点

入国審査官の審査で出国命令の対象者と認定されると、主任審査官が出国命令書を交付します。対象外と判断されると、退去強制の手続に進みます。

入国警備官は、出国命令の対象者に該当すると認めるに足りる相当の理由があるときは、違反事件を入国審査官に引き継ぎます。入国審査官は対象者に該当するかを審査し、該当すると認定したときは主任審査官に知らせます。退去強制対象者に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、違反事件は入国警備官に差し戻され、退去強制手続が執られます。

出国命令を受けた人が付された条件に違反したとき(例として、就労禁止の条件に違反して就労した場合)は、出国命令が取り消されることがあります。取り消された人は退去強制の対象となり、日本に残る場合は刑事罰の対象です。出国期限を過ぎて日本に残った場合も、退去強制と刑事罰の対象になります。

入管庁のQ&Aは、出頭してから出国命令書の交付を受けて出国するまでに、概ね2週間程度かかると案内しています。また、出頭申告をしても不法残留等の状態が直ちに解消されるわけではなく、特別に在留が認められない限り、原則として就労も認められないとしています。

上陸拒否期間:出国命令は原則1年、退去強制は5年または10年

出国命令で出国した人が日本に入国できない期間は、原則として出国した日から1年です。退去強制の場合は、退去の日から5年または10年です。

出国命令で出国した場合の上陸拒否期間は、入管法第5条第1項第9号ホが出国した日から1年と定めています。ただし、要件(1)のイにあたる人が短期滞在の活動を行おうとするときは、同号ヘにより出国した日から5年です。

退去強制の場合は、同号ハが、それ以前に退去強制や出国命令による出国がない人について退去の日から5年、同号ニが、そのほかの退去強制された人について退去の日から10年と定めています。入管庁のQ&Aも、過去に退去強制や出国命令による出国がある人は退去強制された日から10年、それ以外は5年と案内しています。

上陸拒否期間の比較(入管法第5条と入管庁のQ&A。自費出国の許可を受けて期間の短縮決定を受けた人などの例外は除く)
出国の経緯上陸拒否期間
出国命令で出国(要件(1)のア)出国した日から1年
出国命令で出国(要件(1)のイ)短期滞在で入国しようとする場合は出国した日から5年。それ以外の在留資格は1年
退去強制(過去に退去強制や出国命令による出国がない)退去の日から5年
退去強制(過去に退去強制や出国命令による出国がある)退去の日から10年
1年以上の拘禁刑等、薬物関係の法令違反で刑に処せられた人期間の定めなし(上陸できない)

受入れ企業の見方:出国命令は外国人本人が出頭して受ける手続

入管庁の資料では、出国命令は外国人本人が出入国在留管理官署に出頭して受ける手続として説明されています。受入れ企業や登録支援機関が結果を約束できるものではありません。

特定技能外国人が失踪したときの届出や、在留資格の取消しの手続は、別のガイドで確認できます。この記事は、在留期限を過ぎた外国人本人が使える制度の仕組みを、入管庁の資料で整理したものです。個別の事案で出国命令の対象になるかどうかは、地方出入国在留管理官署が判断します。

同じ人を将来あらためて受け入れる計画がある場合は、上陸拒否期間が出国した日または退去の日から数えられる点に注意が要ります。期間に該当するかは、入管庁の案内と地方出入国在留管理官署への確認が優先です。

失踪を把握したときの届出の期限と様式は、特定技能外国人が失踪したときの届出のガイドで確認できます。

よくある質問

出国命令を受けると、日本にはいつまで入国できませんか?

原則として、出国した日から1年間です。ただし、認定通知書を受ける前に出国の意思を表明した場合(要件(1)のイ)で、短期滞在の在留資格で入国しようとするときは、出国した日から5年です。

入管に出頭すれば、不法残留の状態はなくなりますか?

なくなりません。入管庁のQ&Aは、出頭申告をしても不法残留等の状態が直ちに解消されるわけではなく、法務大臣から特別に在留が認められない限り、原則として就労も認められないとしています。

不法残留であれば、誰でも出国命令を受けられますか?

受けられません。不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと、窃盗罪等の一定の罪で拘禁刑に処せられていないこと、過去に退去強制や出国命令による出国がないこと、速やかに出国することが確実と見込まれることなど、5つの要件をすべて満たす必要があります。

出頭してから出国するまで、どのくらいかかりますか?

入管庁のQ&Aは、出頭してから出国命令書の交付を受けて出国するまでに、概ね2週間程度かかるとしています。航空券を予約するときは注意するよう案内しています。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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