この記事の対象:特定技能外国人の退職金制度を検討する受入れ企業の人事・総務担当者、帰国する従業員に退職金の請求を案内する登録支援機関の担当者
加入:国籍に関わらず、日本の企業に雇用されていれば加入できる
中退共事業本部のQ&Aは、日本国内の個人事業所や日本の法人に雇用されている従業員であれば、国籍に関わらず加入できると答えています。
中小企業退職金共済(中退共)の対象は、日本国内の企業に雇用されている従業員です。特定技能外国人も、雇用されている企業が加入していれば、日本人の従業員と同じ制度の対象になります。
この記事は、中退共事業本部のQ&Aを一次資料として、外国人の従業員に関わる点を整理するものです。掛金の額や、退職金制度を設けるかどうかの判断、労務の個別の助言は扱いません。加入の可否や掛金は、中退共事業本部や社会保険労務士などの専門家に確認してください。
建設業で働く場合の退職金制度である建退共は、中退共とは別の制度です。加入条件・掛金・退職金の請求は、建設業退職金共済(建退共):外国人の加入条件・掛金・退職金で確認できます。
| 場面 | 決まり |
|---|---|
| 加入 | 日本国内の個人事業所・日本の法人に雇用されていれば、国籍に関わらず加入できる |
| 加入後1年未満の退職 | 退職金は支給されない |
| 退職金の請求 | 退職した本人(死亡の場合は遺族)だけが請求できる |
| 請求の添付書類 | マイナンバー入り住民票(コピー不可)と身元確認書類のコピー。外国人も日本人と同じ |
| 日本に住んでいない人の税金 | 非居住者として、国内勤務期間に対応する部分が源泉徴収の対象になる |
加入して1年未満で退職すると、退職金は支給されない
加入して1年未満で従業員が退職した場合、退職金は支給されず、それまでの掛金も事業主には戻りません。
中退共事業本部のQ&Aは、加入して1年未満で従業員が退職した場合は退職金が支給されないと説明しています。通算制度の利用や、他の制度からの引継ぎを行っている場合は、11か月以下でも支給される場合があります。
退職金が支給されない場合の掛金は、事業主には返金されません。
退職したときは、事業主が「被共済者退職届」を速やかに中退共本部保全課に送ります。提出が遅れると、退職月の翌月以降も掛金が引き落とされる場合があります。引き落とされた分は、後日、事業主の預金口座に返されます。
- 加入日と、1年未満の退職に当たらないかを確認する
- 退職が決まったら、被共済者退職届を速やかに送る
- 通算制度や他制度からの引継ぎの有無を、従業員に確認する
請求:退職した本人が書類をそろえて申請する
退職金の請求は、退職した本人(死亡の場合は遺族)でなければできず、外国人も日本人と同じくマイナンバー入り住民票を添付します。
請求は、「退職金(解約手当金)請求書」に記入し、添付書類を付けて中退共本部給付業務部に送って行います。事業主が代わりに請求することはできず、退職金の支給を受ける権利は、譲渡や担保にすること、差し押さえることもできません。
請求書には、金融機関の窓口で口座確認印を受けるか、普通預金通帳のコピーを付けます。コピーでは、金融機関名、支店名、普通預金口座番号、口座名義人(カタカナ)のすべてが分かる部分が必要です。
添付するのは、マイナンバー入り住民票(コピー不可、発行から3か月以内)と、身元確認書類のコピーです。外国人の方が請求する場合も、日本人と同様にマイナンバー入り住民票を添付します。請求人の住所が事業所等の住所と同一の場合は、別の書類が求められます。
- 退職金の試算額と必要な添付書類を、事業主に照会する
- 請求書に口座確認印を受けるか、普通預金通帳のコピーを付ける
- 発行から3か月以内のマイナンバー入り住民票(コピー不可)を用意する
- 身元確認書類のコピーを付ける
帰国後の税金:非居住者は、国内勤務期間に対応する部分が課税される
退職日に日本に居住していない場合は非居住者となり、退職手当等のうち、居住者であった期間の勤務に対応する部分が源泉徴収の対象になります。
中退共事業本部のQ&Aによると、退職日に日本に居住していない人は非居住者となり、税金の計算が居住者とは異なります。非居住者に支払う退職手当等は、居住者であった期間に行った勤務に対応する部分が国内源泉所得に当たり、この部分だけが源泉徴収の対象です。
中退共では、事業所から「勤務期間内訳書」を提出してもらい、国内勤務期間に対して20.42%(復興特別所得税を含む)を課税するとしています。
年金の脱退一時金は別の制度です。国民年金や厚生年金の脱退一時金については、別のガイドで整理しています。
年金の脱退一時金の請求は脱退一時金のガイドで確認できます。
よくある質問
特定技能外国人も中退共に加入できますか?
中退共事業本部のQ&Aは、日本国内の個人事業所や日本の法人に雇用されている従業員であれば、国籍に関わらず加入できると答えています。
加入して1年未満で帰国したら、退職金は出ますか?
中退共事業本部のQ&Aは、加入して1年未満で退職した場合は退職金は支給されないとしています。通算制度や他制度からの引継ぎがある場合は、11か月以下でも支給される場合があります。
事業主が本人に代わって退職金を請求できますか?
できません。Q&Aは、退職金の請求は退職した従業員本人(死亡の場合は遺族)でなければできないとしています。
外国人が請求するときの添付書類は日本人と違いますか?
Q&Aは、外国人の方が請求する場合も、日本人と同様にマイナンバー入り住民票(コピー不可)を添付するとしています。身元確認書類のコピーも付けます。
参照した公的一次資料
- 中小企業退職金共済事業本部「外国籍の従業員は加入できますか?」(Q2-1-8)(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年2月2日)
- 中小企業退職金共済事業本部「加入後1年未満で退職した場合は退職金は支給されますか?」(Q8-1-3)(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年2月5日)
- 中小企業退職金共済事業本部「退職金を請求するにはどうすればいいですか?」(Q7-2-1)(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年2月3日)
- 中小企業退職金共済事業本部「退職金請求時にはどんな書類を添付すればいいですか?」(Q7-2-2)(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年2月4日)
- 中小企業退職金共済事業本部「海外に住んでいる従業員の税金はどうなりますか?」(Q9-1-5)(確認日:2026年10月17日、次回確認:2027年2月6日)