この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の人事・労務担当者で、休業を申し出やすくする社内の準備が足りているか確かめたい人
事業主の義務:休業や両立支援制度の申出が円滑に行われる措置を講じる
育児・介護休業法第22条は、育児休業、介護休業、介護両立支援制度等の3つについて、申出が円滑に行われるようにする措置のいずれかを講じるよう、事業主に求めています(第1項、第2項、第4項)。
条文は「講じなければならない」と書いており、努力義務ではなく義務です。厚生労働省のリーフレットは、介護休業と介護両立支援制度等についての措置を、令和7年(2025年)4月1日から施行された、全企業が対象の義務として案内しています。
介護両立支援制度等は、リーフレットの注記によると、介護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、介護のための所定労働時間の短縮等の措置です。
リーフレットは、介護の措置について、複数の措置を講じることを望ましいとしています。条文の義務は、いずれか1つ以上です。
講じる措置は4つ:研修・相談体制・事例の提供・方針の周知
措置は、研修の実施、相談体制の整備、取得(利用)事例の収集と提供、制度と取得(利用)促進の方針の周知の4つです。研修と相談体制は法律の条文に、あとの2つは施行規則に定められています。
第22条の各項の第1号が研修の実施、第2号が相談体制の整備です。第3号は「厚生労働省令で定める措置」で、施行規則第71条の2が、労働者の育児休業の取得に関する事例の収集とその提供、育児休業に関する制度と取得促進の方針の周知を定めています。
介護休業は施行規則第71条の3、介護両立支援制度等は第71条の4が、第71条の2の「育児休業」を読み替えて準用しています。つまり、3系統とも措置の中身は同じ4種類です。
条文の措置は、自社の労働者を対象にした研修や相談体制、自社の労働者の事例です。研修の回数や相談窓口の担当者の資格は、条文に定めがありません。
| 措置 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 研修の実施 | 労働者に対する、休業や制度に係る研修 | 法第22条第1項・第2項・第4項の各第1号 |
| 相談体制の整備 | 休業や制度に関する相談窓口の設置など | 法第22条第1項・第2項・第4項の各第2号 |
| 事例の収集と提供 | 自社の労働者の取得(利用)の事例を集め、労働者へ提供する | 施行規則第71条の2〜第71条の4 |
| 方針の周知 | 休業や制度と、取得(利用)促進の方針を労働者へ知らせる | 施行規則第71条の2〜第71条の4 |
配置や職業能力開発は努力義務
第22条第3項は、休業の申出や休業後の就業が円滑に行われるよう、事業所での労働者の配置その他の雇用管理や、休業中の労働者の職業能力の開発・向上に必要な措置を講ずる努力義務を、事業主に課しています。
第3項は「努めなければならない」と書いており、第1項・第2項・第4項の措置とは義務の強さが違います。
この努力義務は、育児休業と介護休業の両方が対象です。具体的な措置の内容は条文に列挙がないため、自社の事情に合わせて決めます。
従業員300人超の事業主は、男性の育児休業等の取得状況を年1回公表する
第22条の2は、常時雇用する労働者が300人を超える事業主に、育児休業の取得の状況を毎年少なくとも1回公表するよう求めています。リーフレットによると、対象は従業員1,000人超から300人超へ拡大されました。
公表する内容は、施行規則第71条の6が、男性労働者の育児休業等の取得率(公表前事業年度に配偶者が出産した男性労働者に対する、育児休業等をした男性労働者の割合)か、育児休業等と育児を目的とした休暇制度の利用を合わせた割合のいずれかとしています。
公表の方法は、インターネットの利用その他の適切な方法です(施行規則第71条の5)。リーフレットは、公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に、一般の人が閲覧できる方法で公表するよう案内しています。
常時雇用する労働者が300人以下の事業主には、この公表義務はありません。常時雇用する労働者の数え方は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に確認してください。
- 休業や制度の申出を受ける窓口を、社内で決めている
- 研修・相談体制・事例の提供・方針の周知のうち、少なくとも1つを実施している
- 介護休業と介護両立支援制度等についても、措置を講じている
- 従業員が300人を超える場合は、男性の育児休業等の取得率の公表時期と方法を決めている
よくある質問
4つの措置は、すべて実施する必要がありますか?
条文の義務は、研修の実施、相談体制の整備などの措置のうち、いずれか1つ以上を講じることです。厚生労働省のリーフレットは、介護の措置について、複数の措置を講じることを望ましいとしています。
特定技能外国人の従業員にも必要な措置ですか?
第22条は、事業主が雇用する労働者について措置を講じるよう定めており、国籍による区別は条文にありません。
介護の措置は、いつから義務ですか?
リーフレットは、介護休業・介護両立支援制度等についての雇用環境整備を、令和7年(2025年)4月1日から施行された義務として案内しています。
従業員が300人以下でも、取得状況の公表は必要ですか?
第22条の2の公表義務は、常時雇用する労働者が300人を超える事業主が対象です。300人以下の事業主には、この条文の義務はありません。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(確認日:2026年10月13日、次回確認:2027年1月13日)
- e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(確認日:2026年10月31日、次回確認:2027年1月31日)
- 厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(令和7年4月1日から段階的に施行)(確認日:2026年10月25日、次回確認:2027年1月28日)
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」(パンフレット・社内様式例・参考様式)(確認日:2026年10月25日、次回確認:2027年1月28日)