この記事の対象:特定技能外国人を雇用する事業者の人事・労務担当者で、育児・介護に関する従業員への個別の案内と意向確認の手順を整えたい人

個別周知・意向確認の4つの場面

育児・介護休業法第21条は、従業員から申出があったときなどに、事業主が制度を個別に知らせ、意向を確認することを義務づけています。

厚生労働省の改正ポイントのリーフレットは、令和7年4月1日から段階的に施行されたと説明しています。介護離職防止のための個別の周知・意向確認は4月1日から、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮は10月1日からです。

同じ令和7年10月1日には、3歳から小学校就学前の子を養育する従業員について、始業時刻等の変更など5つの措置から2つ以上を選んで講じる義務(第23条の3)も始まりました。この措置と、3歳未満の子を養育する従業員への対象措置の個別周知・意向確認(リーフレットの項目10)は別のテーマですので、本ガイドでは仕事と育児の両立に関する意向聴取と、介護の周知・意向確認に絞ります。

第21条には、努力ではなく「しなければならない」と書かれた義務が並びます。対象は自社の従業員全般で、特定技能外国人だけを別扱いにする規定はありません。確認した条文とリーフレットに、外国人についての記載もありません。

第21条等が定める個別の周知・意向確認の場面
場面事業主がすること始まった時期(リーフレット)
本人または配偶者の妊娠・出産等の申出育児休業に関する制度などを知らせ、意向を確認する面談等を行う。あわせて、就業の条件についての意向を聴取する意向聴取・配慮は令和7年10月1日
子が3歳になる前の適切な時期仕事と育児の両立に関する事項について、意向を個別に聴取する(第23条の3が第21条第2項・第3項を準用)令和7年10月1日
介護に直面した旨の申出介護休業制度などを個別に周知し、取得・利用の意向を確認する令和7年4月1日
40歳になる年(年度)等介護休業制度などの情報提供を行う令和7年4月1日

育児:妊娠・出産の申出時と、子が3歳になる前の意向聴取

令和7年10月1日から、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取と、その意向への配慮が義務になっています。

リーフレットによると、事業主は、従業員が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たときと、子が3歳になるまでの適切な時期に、子や家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する事項について意向を個別に聴取しなければなりません。

子が3歳になる前の時期は、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)とされています。このほか、育児休業後の復帰時や従業員から申出があったときにも実施することが望ましいと書かれています。

厚生労働省の案内ページには、令和7年4月1日・10月1日施行対応版のパンフレットと、社内様式例、個別周知・意向確認書や個別の意向聴取書の記載例(参考様式)が掲載されています。様式は社内用に手を加えて使えるとされています。

聴取した意向には、自社の状況に応じて配慮しなければなりません。配慮の例として、勤務時間帯・勤務地にかかる配置、両立支援制度等の利用期間等の見直し、業務量の調整、労働条件の見直しが挙げられています。第21条第6項は、申出をしたことや確認された意向の内容を理由に、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。

子が3歳になる前の意向聴取の事項と方法(改正ポイントのご案内 11)
区分内容
聴取する事項勤務時間帯(始業・終業の時刻)、勤務地(就業の場所)、両立支援制度等の利用期間、仕事と育児の両立に資する就業の条件(業務量、労働条件の見直し等)
方法面談、書面交付、FAX、電子メール等のいずれか。オンライン面談も可能で、FAXと電子メールは従業員が希望した場合のみ
聴取の時期妊娠・出産等の申出があったとき、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間。望ましい時期として、育児休業後の復帰時や従業員から申出があったとき

介護:申出時の個別周知・意向確認と、40歳時の情報提供

令和7年4月1日から、介護に直面した旨の申出を受けた事業主は、制度を個別に周知し、意向を確認する義務を負っています。

リーフレットによると、周知する事項は3つです。介護休業に関する制度と介護両立支援制度等の内容、その申出先(例:人事部)、介護休業給付金に関することです。方法は、面談、書面交付、FAX、電子メール等のいずれかで、育児の場合と同じくFAXと電子メールは従業員が希望した場合のみです。

リーフレットは、取得・利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められないと明記しています。第21条第6項も、介護の申出をしたことを理由とする不利益な取扱いを禁じています。

40歳時の情報提供は、従業員が介護に直面する前の早い段階で制度への理解を深めてもらう趣旨です。時期は、40歳に達する日(誕生日の前日)の属する年度の1年間か、40歳に達する日の翌日(誕生日)から1年間のいずれかです。情報提供事項は申出時の周知事項と同じで、あわせて介護保険制度を周知することが望ましいとされています。

介護休業の対象家族や日数は、介護休業のガイドで確認できます。

特定技能外国人の雇用で確認すること

個別の周知や意向確認は、従業員が内容を理解できる形で行って初めて意味を持ちます。

条文とリーフレットは、周知や意向確認を日本語で行うことを求めてはいません。また、外国人向けの特例もありません。ここでは、事業者側の運用として、申出を受けた窓口と案内の方法を決めておくことを確認点に挙げます。

外国人従業員が対象になる場合も、育児・介護休業の対象や取得条件は、日本人従業員と同じく労使協定と就業規則で確認します。有期雇用の従業員の取扱いは別のガイドで整理しています。

個々の従業員への案内の内容や、休業・配置の可否の判断は、就業規則と個別の事情で変わります。本ガイドは制度の概要で、個別の労務判断や助言ではありません。迷う場合は、都道府県労働局など関係機関や社会保険労務士等の専門家に確認してください。

有期雇用の従業員の育児休業は、有期雇用の育児休業のガイドで確認できます。

  • 妊娠・出産等の申出を受ける窓口を決めたか
  • 子が3歳になる前の1年間に意向を聴取する時期を管理しているか
  • 聴取する4事項(勤務時間帯・勤務地・利用期間・就業の条件)を記録する様式があるか
  • 介護の申出時の周知3事項(制度の内容・申出先・介護休業給付金)を案内できるか
  • 40歳になる従業員への情報提供の時期を決めたか
  • 取得・利用を控えさせる案内になっていないか確認したか

よくある質問

個別の意向聴取と配慮は、いつから義務ですか?

厚生労働省のリーフレットでは、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮は令和7年10月1日から施行とされています。介護の個別周知・意向確認と40歳時の情報提供は令和7年4月1日からです。

子が3歳になる前の意向聴取は、いつ行えばよいですか?

リーフレットは、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)としています。

介護の個別周知で、周知する事項は何ですか?

リーフレットは、介護休業に関する制度と介護両立支援制度等の内容、その申出先、介護休業給付金に関することの3つを挙げています。

外国人従業員にだけ別の手順が必要ですか?

確認した第21条とリーフレットに、外国人についての特例や記載はありません。自社の従業員全般に共通する義務です。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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