この記事の対象:倉庫・工場・店舗で運送会社の荷の積み卸しを受け入れる荷主と、特定技能外国人に荷役をさせる運送事業者の安全衛生担当者
ガイドラインの位置づけ:運送事業者・荷主等・荷役作業者の責務
荷役作業の安全対策ガイドラインは、運送事業者だけでなく、荷主・配送先・元請事業者等にも取り組む事項を示した、厚生労働省の通達の別紙です。
正式名称は「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」です。平成25年3月25日付けの基発0325第1号の別紙1で示されました。その後、令和5年3月28日付けの基発0328第5号で改正されています。
目的は、陸上貨物運送事業の労働者が行う荷役作業の労働災害を防ぐため、運送事業者と、荷主・配送先・元請事業者等(以下、荷主等)がそれぞれ取り組む事項を具体的に示すことです。
運送事業者はガイドラインを指針として対策の推進に努めます。荷主等は、運送事業者の労働者が自社の事業場で行う荷役作業の労働災害防止に必要な事項に、協力するものとされています。荷役作業をする労働者は、運送事業者の指示と、荷主等の作業場所のルールを守って、災害の防止に努めます。
貨物自動車の昇降設備や保護帽の条文は、貨物自動車の荷積み・荷卸しのガイドで確認できます。
体制づくり:荷役災害防止の担当者の指名とリスクアセスメント
運送事業者は、荷役災害を防ぐ体制として、担当者の指名、方針と目標、リスクアセスメントを進めます。
運送事業者は、安全管理者や安全衛生推進者などの中から荷役災害防止の担当者を指名し、役割、責任、権限を定めて労働者に周知します。指名した担当者には、必要な教育を行います。
事業を統括管理する者は、荷役作業の労働災害防止を盛り込んだ安全衛生方針を表明し、目標を設定して、運送事業者の労働者と荷主等に周知します。荷役作業については、危険性又は有害性等の調査(リスクアセスメント)を行い、結果に基づいて必要な措置を講じます。
運送の都度、運送事業者の労働者が荷主等の事業場で荷役作業をする必要があるかを事前に確認します。事前に確認しなかった荷役作業は行わせないこととされています。
リスクアセスメントの進め方は、リスクアセスメントのガイドで確認できます。
現場の対策:墜落・転落とフォークリフト・テールゲートリフター
運送事業者の実施事項のうち、荷台や荷の上での作業と、荷役運搬機械の扱いが中心です。
荷台や荷の上での作業では、墜落・転落の危険のある作業で墜落時保護用の保護帽をかぶります。最大積載量が2トン以上の貨物自動車の荷台への昇降は、昇降設備を使います。2トン未満の貨物自動車でも、できる限り昇降設備を使うこととされ、踏み台などの簡易なものでもよいとされています。
フォークリフトの運転は、最大荷重に合った資格を持つ労働者に行わせます。テールゲートリフターの操作は特別教育を受けた労働者に行わせ、作業の開始前と定期に点検します。
ロールボックスパレットを人力で扱うときは、安全靴と脚部のプロテクターを使い、動かさないときはキャスターストッパーなどで逸走を防ぎます。停止やカーブの2メートルほど前から減速し、重いものは2人で押します。
フォークリフトの資格と検査は、フォークリフトの検査と運転のルールのガイドで確認できます。
| 作業 | ガイドラインが示す対策 |
|---|---|
| 荷台への昇降 | 最大積載量2トン以上は昇降設備を使う。2トン未満もできる限り使う |
| 墜落・転落のおそれのある作業 | 墜落時保護用の保護帽をかぶる |
| フォークリフト | 最大荷重に合った資格を持つ労働者に運転させる |
| テールゲートリフター | 特別教育を受けた労働者に操作させ、作業前と定期に点検する |
| ロールボックスパレット | 安全靴とプロテクター、キャスターストッパー、重いものは2人で押す |
荷主等の実施事項:担当者の指名と安全衛生協議組織
荷主等にも、運送事業者と連携して荷役災害を防ぐ事項が、ガイドラインの第3に示されています。
荷主等は、安全管理者や安全衛生推進者などの中から荷役災害防止の担当者を指名し、運送事業者の担当者の措置に連携して取り組ませます。安全衛生方針や計画には、運送事業者の労働者が自社の事業場で行う荷役作業の労働災害の防止を盛り込みます。
運送事業者の労働者が自社の事業場で行う必要がある荷役作業は、運送事業者に通知します。事前に通知しなかった荷役作業は、運送事業者の労働者に行わせないこととされています。荷役作業を行う場合は、運送事業者の担当者に、安全作業連絡書の内容も通知します。
運送事業者の労働者が反復して定例的に荷役作業をするときは、運送事業者と協議する場として、安全衛生協議組織を設けます。墜落・転落、荷役運搬機械による災害、転倒などの防止策を協議し、合同で作業場所を巡視し、リスクアセスメントを行います。荷役の身体的な負荷を考慮して、運行計画や休憩施設の設置も協議します。
- 必要な荷役作業を運送事業者に事前に通知し、安全作業連絡書の内容も通知している
- 荷役災害防止の担当者を指名し、運送事業者の担当者と連携させている
- 反復して来る運送事業者と安全衛生協議組織を設けて巡視している
よくある質問
荷役作業の安全対策ガイドラインは、荷主にも関係しますか?
関係します。ガイドラインは運送事業者と荷主・配送先・元請事業者等のそれぞれが取り組む事項を示していて、荷主等は運送事業者の労働者が自社の事業場で行う荷役作業の労働災害防止に協力するものとされています。
最大積載量が2トン未満の貨物自動車は昇降設備が不要ですか?
ガイドラインは、2トン未満の貨物自動車の荷台への昇降についても、できる限り昇降設備を使うこととし、踏み台などの簡易なものでもよいとしています。
テールゲートリフターは誰でも操作できますか?
ガイドラインは、テールゲートリフターの操作を特別教育を受けた労働者に行わせることとしています。
運送事業者と荷主はどのように協議しますか?
反復して定例的に荷役作業をするときは、安全な作業方法の確立などを協議する安全衛生協議組織を設けることとされています。墜落・転落や荷役運搬機械による災害の防止策のほか、合同の巡視やリスクアセスメントも行います。
参照した公的一次資料
- 厚生労働省「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」(平成25年3月25日付け基発0325第1号別紙1。東京労働局掲載の本文)(確認日:2026年10月27日、次回確認:2027年4月27日)
- 厚生労働省 基発0328第5号(令和5年3月28日。貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則等の改正の施行通達。岡山労働局掲載)(確認日:2026年10月27日、次回確認:2027年4月27日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第151条の67(貨物自動車の昇降設備)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年1月20日)
- e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第151条の74(貨物自動車の荷の積卸しでの保護帽の着用)(確認日:2026年10月20日、次回確認:2027年1月20日)