この記事の対象:育成就労外国人の受入れを検討・開始している企業の人事担当者、監理支援機関の担当者、育成就労責任者
技能:業務区分に属し、同じ作業の繰り返しだけでは身につかないもの
育成就労で身につけさせる技能は、分野別運用方針の業務区分に属するものから選びます。
運用要領は、育成就労で従事させる業務に必要な技能について、2つの条件を挙げています。分野別運用方針に定める業務区分に属すること、そして同一の作業の反復のみによって修得できるものではないことです。業務区分は、育成就労産業分野ごとに必要な技能の範囲を画するもので、分野内に複数の区分がある分野も、単一の区分の分野もあります。
同一の作業の反復のみで修得できる技能とは、同じ作業を繰り返し、特段のレベルアップが期待できない作業で身につくものです。作業が1つとは限らず、同種の業務の一連の作業を反復し、単に手足を動かすだけで修得できるものも含みます。
「主たる技能」は、業務区分ごとに分野別運用方針で定められています。業務区分の業務全般に必要な技能が1つ定められる場合、特定の業務に必要な技能が定められる場合、その両方が定められる場合があります。1つの業務区分に複数の主たる技能があるときは、育成就労実施者がいずれかを選びます。
時間:必須業務は3分の1以上、安全衛生業務は10分の1以上
業務の時間配分には、育成就労計画の審査基準として決まった割合があります。
必須業務とは、修得させる技能に係る技能検定または育成就労評価試験の試験範囲に基づき、その技能を修得するために必ず行わなければならない業務です。育成就労主務省令(規則第13条)は、必須業務に従事させる時間が業務に従事させる時間全体の3分の1以上であることを求めています。Q&A(Q13)も、主たる技能は必須業務に全体の就労時間の3分の1以上従事することなどで修得するとしています。
安全衛生に係る業務は、業務時間全体の10分の1以上です。あわせて、外国人の所定労働時間は、受入れ側に雇用される通常の労働者と同等であることが基準です。
運用要領は、必須業務として認められない業務に育成就労の期間を通じて専ら従事させることは、適切に育成就労を行うものとはいえないとしています。割合を満たすだけでなく、期間全体の業務の構成が育成就労の目標に照らして適切であることも基準に含まれます。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 必須業務 | 業務に従事させる時間全体の3分の1以上 |
| 安全衛生に係る業務 | 業務に従事させる時間全体の10分の1以上 |
| 所定労働時間 | 受入れ側に雇用される通常の労働者と同等 |
| 期間全体の業務の構成 | 育成就労の目標に照らして適切であること |
残りの時間:業務区分内の業務と、関連業務への付随的な従事
必須業務と安全衛生業務以外の時間にも、任せられる業務の範囲があります。
運用要領は、その他の時間に、必須業務と安全衛生業務のほか、業務区分内の業務に従事することや、これらに関連する業務に付随的に従事することは可能としています。必須業務以外の業務については、必ずしも3分の1の基準を満たす必要はないとされています。Q&A(Q14)も、必須業務に3分の1以上従事するほか、それぞれの業務区分の範囲内で関連する業務に従事できると答えています。
任せてはならない業務もあります。業務の性質や就労環境に照らして育成就労として適当でない業務は、計画の認定を受けられません。
運用要領は例として、外食分野での来店客への接待行為や風俗営業店での就労、宿泊分野でのラブホテルでの就労、建設分野での除染作業を挙げています。また、育成就労外国人の受入れのためだけに、事業所で通常行われていない業務を行うことや、一般に使われていない設備を使うことは認められません。
- 選んだ業務区分に、育成就労で身につけさせる主たる技能が定められている
- 必須業務に従事させる時間が、業務時間全体の3分の1以上になる計画である
- 安全衛生に係る業務の時間を、全体の10分の1以上で見込んでいる
- 所定労働時間が、通常の労働者と同等になっている
- 任せる業務が、事業所で通常行われている業務である
分野:農業と漁業のように分野をまたいで働くことはできない
季節ごとに別の分野で働かせる形は、育成就労では認められていません。
Q&A(Q15)は、「夏は農業、冬は漁業」のような働き方について、人材育成の一貫性を確保する観点から、分野をまたいで働くことはできないと答えています。本人意向の転籍についても、運用要領のポイントは、転籍先で従事する業務の業務区分が、転籍元の育成就労実施者のもとで従事した業務の業務区分と同一である必要があるとしています。
例外は、農業分野と漁業分野の労働者派遣です。Q&A(Q16)によると、派遣元と派遣先が共同で育成就労計画を作成して認定を受けることで、派遣の形態で育成就労を実施できます。計画を認定してもらうときは、あらかじめ派遣先ごとに派遣時期を定めておく必要があります。
入管庁の概要資料も、労働者派遣は農業分野と漁業分野のみ認められるとしています。分野をまたぐ就労が認められない点は、派遣でも変わりません。
閑散期の一時帰国と期間の数え方は、育成就労の期間の数え方のガイドで整理しています。
よくある質問
必須業務に従事させる時間は、どのくらい必要ですか?
育成就労主務省令は、必須業務に従事させる時間が業務に従事させる時間全体の3分の1以上であることを基準としています。運用要領は、安全衛生に係る業務は10分の1以上としています。
必須業務以外の仕事をさせてもよいですか?
運用要領は、その他の時間に、業務区分内の業務や、必須業務などに関連する業務に付随的に従事することは可能としています。ただし、必須業務として認められない業務に期間を通じて専ら従事させることは、適切な育成就労とはいえないとされています。
夏は農業、冬は漁業のように、複数の分野で働かせられますか?
入管庁のQ&A(Q15)は、人材育成の一貫性を確保する観点から、分野をまたいで働くことはできないと答えています。
育成就労で任せられない業務はありますか?
運用要領は、育成就労として適当でない業務の例に、外食分野の接待行為や風俗営業店での就労、宿泊分野のラブホテルでの就労、建設分野の除染作業を挙げています。個別の業務が当てはまるかは、分野を所管する省庁や外国人育成就労機構に確認してください。
参照した公的一次資料
- 出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(確認日:2026年10月22日、次回確認:2026年11月22日)
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領 ~関係者の皆さまへ~」(令和8年8月版)(確認日:2026年10月3日、次回確認:2027年1月3日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」(令和8年7月改訂)(確認日:2026年9月23日、次回確認:2026年12月23日)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度運用要領のポイント」(確認日:2026年9月7日、次回確認:2026年12月7日)
次に確認すること
試算ツールは特定技能1号の費用が対象です。育成就労から特定技能1号へ移った後の支援費は「1号特定技能外国人支援の体制」欄に、見積が手元にある費目は「費目別の確認状況」欄に入力します。育成就労の監理支援費や送出し関連の費用は入力欄がありません。