この記事の対象:育成就労の受入れを検討する企業の担当者、監理支援機関の許可を受ける(受けた)団体の担当者

義務の趣旨:外国人が途中帰国を余儀なくされないために

法第51条は、実施が困難になったとき、受入れ側が外国人の転籍を支援する連絡調整を行う義務を定めています。

運用要領(令和8年8月版)の第7章第2節は、育成就労実施者や監理支援機関の事情で育成就労や監理支援事業を続けることが困難になったとき、外国人が他の育成就労実施者や監理支援機関へ円滑に転籍できないと、予定した期間の育成就労ができず、途中帰国を余儀なくされると説明しています。

この事態を防ぐため、実施が困難になった旨の届出や通知、事業の休廃止の届出などをしようとするときは、責任を持って他の育成就労実施者や監理支援機関その他の関係者との連絡調整その他の必要な措置を講じ、円滑な転籍の支援を図ることが義務づけられています。

第1項から第3項:誰が・どの場面で・何をするか

第1項と第2項が義務、第3項が大臣による指導及び助言の規定です。

第1項の義務は、育成就労実施者または監理支援機関が、法第19条第1項から第4項までの届出や通知、または法第33条第1項(育成就労実施困難時の届出)もしくは第34条第1項(事業の休廃止の届出)の届出をしようとするときに生じます。対象は、引き続き育成就労の継続を希望する育成就労外国人です。

第2項は監理支援機関だけの義務で、監理型育成就労の外国人に係る育成就労認定が法第16条第1項により取り消された場合に、その外国人が新たに育成就労の対象となることを希望するときは、新たな受入れ先に就けるよう連絡調整その他の措置を講じなければなりません。第3項は、出入国在留管理庁長官と厚生労働大臣が育成就労実施者の側に、主務大臣が監理支援機関の側に、必要な指導及び助言を行えるとする規定です。

監理支援機関が出す実施困難時の届出と事業の休廃止の届出は、監理支援機関の実施困難時・休廃止の届出のガイドで確認できます。

法第51条の3つの項(条文と運用要領第7章第2節より)
項義務を負う者(助言を受ける者)場面求められる措置
第1項育成就労実施者・監理支援機関法第19条第1項〜第4項の届出・通知、法第33条第1項・第34条第1項の届出をしようとするとき継続を希望する外国人が育成就労を続けられるよう、他の実施者・監理支援機関その他関係者との連絡調整その他の必要な措置
第2項監理支援機関監理型の外国人に係る育成就労認定が法第16条第1項で取り消された場合新たに育成就労の対象となることを希望する外国人のための連絡調整その他の必要な措置
第3項育成就労実施者側(長官・大臣)と監理支援機関側(主務大臣)への指導及び助言措置の円滑な実施のために必要があると認めるとき必要な指導及び助言(できる規定)

認定・許可の取消し、更新できなかったときも措置が求められる

運用要領は、取消しを受けた場合や更新を受けられなかった場合でも、連絡調整その他の措置が求められるとしています。

運用要領は、育成就労実施者や監理支援機関は、認定・許可の取消しを受けた場合や、監理支援機関が許可の有効期間の更新を受けることができなかった場合であっても、他の育成就労実施者や監理支援機関等との連絡調整その他の必要な措置を講じることが求められると書いています。

また、育成就労実施者には認定された育成就労計画の期間の終期まで育成就労を行わせる義務があり、監理支援機関には、その義務が適切に履行されるよう監理支援を行う義務があります。期間の途中での中止は、倒産等のやむを得ない事情がある場合を除き、実施者や監理支援機関の一方的な都合によるものであってはならないとされています。

認定が取り消される理由は、育成就労計画の認定の取消しの理由のガイドで確認できます。

転籍が急ぐときの相談先と、当事者を変えるときの事前の同意

転籍先を自力で確保できないときは、まず外国人育成就労機構の地方事務所・支所に相談するよう案内されています。

運用要領は、転籍に緊急性を要する場合に、育成就労実施者や監理支援機関等の自助努力だけでは転籍先を確保できない場合も想定されるとして、そのときはまず機構の地方事務所・支所の援助課または指導課(援助担当)に相談するよう書いています。

育成就労実施者、監理支援機関または取次送出機関の少なくともいずれか1つを変更する場合は、関係する当事者間で事前の同意が必ずしも必要ではありませんが、争いにならないよう、育成就労外国人を含めた当事者間で事前の同意を得ておくことが望ましいとされています。

  • 実施困難時の届出や休廃止の届出をする前に、継続を希望する外国人の転籍先との連絡調整を始める
  • 取消しや更新不可の場合も、連絡調整その他の措置が求められることを前提に動く
  • 転籍先が自力で見つからないときは、機構の地方事務所・支所の援助課または指導課(援助担当)へ相談する
  • 実施者・監理支援機関・取次送出機関のいずれかを変えるときは、外国人本人を含む当事者の事前の同意を得ておくことが望まれる

よくある質問

連絡調整の義務は、どの手続のときに生じますか?

条文は、法第19条第1項から第4項までの届出・通知、法第33条第1項の育成就労実施困難時の届出、法第34条第1項の事業の休廃止の届出をしようとするときと定めています。対象は、引き続き育成就労を希望する外国人です。

認定が取り消されたときも、連絡調整は必要ですか?

監理型の外国人に係る認定が取り消された場合、監理支援機関には第2項の義務があります。運用要領は、取消しや更新できなかった場合でも、連絡調整その他の措置が求められると書いています。

転籍先が見つからないときはどこに相談しますか?

運用要領は、まず外国人育成就労機構の地方事務所・支所の援助課または指導課(援助担当)に相談するよう書いています。

実施者や監理支援機関を変えるときは、関係者全員の同意が必要ですか?

運用要領は、必ずしも事前の同意は必要ではないとしつつ、争いにならないよう外国人を含めた当事者間で事前に同意を得ておくことが望まれるとしています。

参照した公的一次資料

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