この記事の対象:育成就労外国人から転籍の希望を伝えられる可能性のある受入れ企業の人事・総務担当者と、監理支援機関の職員

転籍の申出の方法:口頭では足りず書面が必要

運用要領は、転籍を希望する旨の申出を、所定の事項を書いた書面(申出書)で行うものとしています。

申出先は、育成就労実施者、監理支援機関、外国人育成就労機構のいずれかです。口頭で転籍希望を伝えられただけでは法律上の申出とは認められないため、実施者や監理支援機関は、口頭で伝えられたときに申出書の提出を案内しなければなりません。実施者の倒産や廃業など外国人の責めによらない場合でも、申出は外国人から行う必要があります。

申出書に書く所定の事項は、外国人の氏名・国籍・生年月日、申出時点の育成就労実施者の名称、転籍を希望する理由です。参考様式第1-16号以外の様式でこれらを書いて出された場合も申出と認められ、受け取りを拒否できません。受け取った者が申出書を廃棄したり、受け取りを拒否したりすることも認められていません。

転籍できる技能・日本語の水準は本人意向転籍の水準のガイドで確認できます。

申出書の提出と受け取りの決まり(運用要領)
項目決まり
提出先育成就労実施者・監理支援機関の役職員、または機構
提出の方法役職員への直接の提出、外部監査人等を介した提出、郵送
受け取った職員速やかに育成就労責任者(実施者の場合)または監理支援責任者(監理支援機関の場合)に報告する
申出を理由にした扱い転籍の希望を受けたことをもって解雇するなどの不利益な取扱いは許されない

第1-16号の記載欄:合格している試験・相談状況・事情の選択

第1-16号は、本人が試験の合格状況、相談の経緯、続けられない事情を書いて署名する様式です。

本文には、合格している技能試験、合格している日本語能力の試験、申出時点で現在の実施者の下で育成就労の対象になっている期間を書きます。続けることができない事情がある場合は、チェックを入れ、実施者または監理支援機関への相談状況(相談時期、相談した人、相談結果)と、別紙で選んだ事情を書きます。

相談時期は、実施者または監理支援機関に最初に相談した日で、相談していない場合は書かなくて構いません。相談結果は、「対応してくれない」「対応が不十分」から選びます。末尾に本人の署名があり、受領者が受領の署名と所属機関・役職名を書く欄が付いています。

別紙の事情は7区分:人権侵害・解雇・合意解約・法令違反・条件の相違など

別紙は、続けられない事情の番号を選び、できるだけ具体的に書く形です。複数選べます。

様式は、法令違反や条件の相違があれば必ず転籍できるわけではなく、態様が重大・悪質と認められる場合などに転籍できることに注意するよう、書き添えています。選んだ番号の事情は、日付ごろや金額のめやすなど、できるだけ具体的に書く例が示されています。

例として様式は、「4-2・5-4:○月頃から賃金が支払われなくなり、現在○円くらいの賃金が支払われていない」「5-3:○月○日頃、有給休暇を申請したのに、取得させてくれない」のように、番号に続けて、いつ、何が起きたかを書く形を挙げています。この例では、「4-2・5-4」のように複数の番号を並べています。

番号5と対になる説明書類は重要事項説明書(第1-13号)のガイドで確認できます。

第1-16号の別紙:事情の区分(入管庁の参考様式)
番号事情
1暴行・暴言・嫌がらせなど、人権を侵害された
2実施者から解雇する旨を告げられた
3退職合意書への署名など、雇用契約を解除する合意をした
4(4-1〜4-6)実施者の重大悪質な法令違反(計画と異なる育成就労、多額の未払い賃金、認定計画と異なる契約、育成就労法違反、労働基準関係法令違反、その他)
5(5-1〜5-7)雇用条件書や重要事項説明書の条件と実際の相違(場所・業務、労働時間、休日・休暇、賃金、宿泊施設、入国後講習中の待遇、その他)
6雇用契約書や雇用条件書が交付されていない、または母国語で説明を受けていない
7その他、続けることができない事情

受け取った後の手続:署名・写しの交付・機構への届出と通知

運用要領は、受け取った側ごとに、やるべきことを表にしています。共通するのは、受領の署名と写しの交付です。

提出を受けた申出書には、受領者の署名欄に記入して写しを作り、外国人に交付します。その後、すぐに事実関係を確認します。まず、やむを得ない事情にあたり得る事実があるかを確認し、確認できない場合に、本人意向の転籍の要件に当たり得る事実があるかを確認します。

機構への届出(省令様式第5号の受理届出)は、「遅滞なく」行う必要があります。事実確認に時間がかかることを理由に遅らせることは許されず、記載できない事項は「追って報告」と書いて届け出て、確認でき次第、追加の届出をします。

第1-19号の受理通知は、育成就労計画の認定番号と認定年月日、申出をした外国人の氏名・国籍・生年月日・性別を書き、第1-16号の写しを別添とする様式です。外国人の現状を書く欄もあります。

申出を受けた者ごとの主な手続(運用要領)
受け取った者主な手続
単独型育成就労の実施者事実確認、写しの交付、機構への受理届出、第1-17号の対応通知書を外国人に交付
監理型の実施者内容確認、写しの交付、第1-19号の受理通知を作成し、申出書の写しを添えて監理支援機関に通知
監理支援機関(本人から直接受けた場合)事実確認、機構への受理届出、第1-17号の交付、育成就労を継続できるよう連絡調整。第1-19号は、転籍先の育成就労計画が認定された時点で実施者に通知

第1-17号の対応通知書:調査内容と、連絡調整を始めるか否かを書く

第1-17号は、単独型の実施者または監理支援機関が、申出への対応を外国人に知らせる通知書です。

通知書には、やむを得ない事情の有無を判断するために行った調査の内容を具体的に書き、決定として「育成就労実施者変更に係る連絡調整を開始する」か「開始しない」かを選びます。開始しない場合は、理由を次から選びます。転籍の要件を満たしていないと認められた、続けられない事情が存在しないと認められた、事情はやむを得ない事情に当たらないと認められた、事情があったが是正されたためやむを得ない事情に当たらないと認められた、その他です。

通知書には、決定に不服がある場合は外国人育成就労機構に相談できる旨の留意事項があります。外国人が通知の受領に署名する欄もあります。

取下げ書(第1-18号)と、実施困難時の届出に添える写し

申出を取り下げる場合や、育成就労の継続が難しくなった場合の書類も、運用要領が定めています。

外国人本人の意思で転籍をやめる場合は、取下げ書(第1-18号)の提出を案内し、提出された写しを実施者または監理支援機関が機構に提出します。様式の取下げ理由は、続けられない事情が是正されたため、本人の意思で帰国することとしたため(別途意思確認書面を提出)、その他、の3つです。

やむを得ない事情による転籍が認められ得る事実を確認した場合や、本人意向の転籍を含め外国人が実際に離職した場合など、育成就労の継続が困難となったときは、第1-16号と第1-17号の写しを添えて、育成就労実施困難時届出書(省令様式第13号)を提出する必要があります。

  • 口頭での希望を受けたら申出書の提出を案内した
  • 受領の署名をして写しを外国人に交付した
  • 職員が責任者に速やかに報告した
  • 単独型の実施者・監理支援機関は、機構への受理届出を遅滞なく行った
  • 単独型の実施者・監理支援機関は、対応通知書(第1-17号)を外国人に交付した
  • 不利益な取扱いをしていない

よくある質問

口頭で転籍したいと言われたら、それで申出になりますか?

運用要領は、口頭の伝達は法律上の申出とは認められないとしています。実施者や監理支援機関は、申出書(第1-16号)の提出を案内しなければなりません。

申出書の様式が第1-16号でなくても、受け取る必要がありますか?

運用要領は、第1-16号以外の様式でも、規則に定める記載事項が書かれていれば申出と認められ、受け取りを拒否できないとしています。

申出を受けたことを理由に、外国人を解雇してもよいですか?

運用要領は、転籍を希望する旨の申出を受けたことをもって解雇するなどの不利益な取扱いは許されないとしています。

機構への届出は、事実確認が終わってからでよいですか?

運用要領は、「遅滞なく」届け出るとし、事実確認に時間がかかることを理由に遅らせることは許されないとしています。記載できない事項は「追って報告」と書いて届け出ます。

参照した公的一次資料

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次に確認すること

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