この記事の対象:特定技能外国人を雇う企業の給与・総務担当者、住民税の事務を確認したい登録支援機関
特別徴収の基本:1月1日の住所の市区町村に報告し、給与から天引きして納める
個人住民税の特別徴収は、事業主が従業員の給与から住民税を天引きし、従業員が住む市区町村へ納める仕組みです。
地方税法第39条は、個人の道府県民税の賦課期日を、その年度の初日の属する年の1月1日と定めています。第294条は、市町村民税が市町村内に住所を有する個人に課されると定めています。東京都の案内も、事業主は従業員が1月1日時点で住んでいる区市町村へ書類を出すとしています。
このため、提出先は現在の住所ではなく、1月1日時点の住所の市区町村です。転居や入国の時期が絡む従業員の課税の有無は、市区町村の住民税担当課に確認してください。
給与支払報告書の提出:1月31日までに3種類の書類
地方税法第317条の6第1項は、1月1日現在で給与を支払い、所得税の源泉徴収義務がある者に、1月31日までの給与支払報告書の提出を求めています。
東京都の案内は、提出する書類を、給与支払報告書の個人別明細書、給与支払報告書の総括表、普通徴収に切り替える従業員がいる場合の切替理由書兼仕切書(紙)の3つとしています。年の途中で退職した人の分も出します。
eLTAXなどの電子媒体で出す場合は、普通徴収の欄にチェックを入れ、切替理由書の添付は不要です。様式は区市町村によって異なる場合があるため、提出先の案内を確認してください。
eLTAXの特設ページによれば、eLTAXを使うと、給与支払報告書のデータを作成して複数の市区町村へ同時に送信できます(PCdeskとeLTAX対応の税務ソフトに限る)。特別徴収税額通知は、令和5年分(令和6年度)から、特別徴収義務者用に加えて納税義務者用も電子データで受け取る方法を選べます。
同条第2項は、提出した報告書に載せた人のうち、4月1日現在で給与を受けなくなった人がいる場合、4月15日までにその旨の届出書を市町村長へ出すと定めています。
通知から納入まで:6月給与から天引き、翌月10日に納入
報告書を出したあと、市区町村から事業主へ特別徴収税額の通知が届き、6月の給与から天引きを始めます。
地方税法第321条の4第2項は、特別徴収義務者への通知を、その年の5月31日までにしなければならないと定めています。東京都の案内によれば、特別徴収義務者用と納税義務者用の特別徴収税額決定通知書が送られ、年税額と月割額が分かります。
天引きは6月の給与から始めます。納期限は、特別徴収した月の翌月10日です。区市町村から届く納入書で納め、原則として年12回になります。
目黒区の案内も、報告書をもとに住民税を決定し、6月から翌年5月までの12回に分けて給与から差し引くとしています。税額が変わった場合は特別徴収税額変更通知書が送られるため、その通知に従って天引き額を変えます。
退職・帰国時の残額の扱いは退職時の住民税のガイドで確認できます。
| 時期 | 事業主の手続 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1月31日まで | 給与支払報告書を、1月1日現在の住所の市区町村へ提出 | 地方税法第317条の6第1項 |
| 4月15日まで | 4月1日現在で給与を受けなくなった人がいれば届出書を提出 | 地方税法第317条の6第2項 |
| 5月31日まで | 市区町村から特別徴収税額決定通知書が届く | 地方税法第321条の4第2項 |
| 6月の給与から | 月割額を給与から天引きして納入を始める | 東京都の案内 |
| 徴収した月の翌月10日 | 納入書で市区町村へ納入(原則年12回) | 東京都の案内 |
納期の特例と切替申請:従業員が常時10人未満の事業主の納め方
地方税法第321条の5の2は、給与の支払を受ける人が常時10人未満の事務所等について、市町村長の承認を受けた場合の納期の特例を定めています。
東京都の案内によれば、承認を受けると、6月分から11月分を12月10日まで、12月分から5月分を翌年6月10日までの年2回にまとめて納められます。申請書は、従業員が住む区市町村に出します。
従業員から普通徴収を特別徴収に切り替えたいと申し出があった場合は、切替申請書を出します。普通徴収の納期限が過ぎているものや過年度分は、切り替えられません。名称や様式は区市町村で異なります。
よくある質問
給与支払報告書はいつまでに、どこへ出しますか?
毎年1月31日までに、従業員が1月1日時点で住んでいる市区町村へ出します。地方税法第317条の6第1項と東京都の案内で確認できます。
住民税の天引きは何月の給与から始めますか?
東京都の案内は、6月の給与から特別徴収を始めるとしています。5月31日までに市区町村から特別徴収税額決定通知書が届きます。
天引きした住民税はいつまでに納めますか?
原則は、特別徴収した月の翌月10日までです。従業員が常時10人未満で承認を受けた事業主は、年2回にまとめる納期の特例を使えます。
年の途中で退職した人の給与支払報告書も出しますか?
東京都の案内は、年の途中で退職した人の分も提出するとしています。
参照した公的一次資料
- e-Gov法令検索「地方税法」第321条の5(給与所得に係る特別徴収税額の納入の義務等)(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年2月9日)
- 東京都主税局「特別徴収にかかる手続きについて」(個人住民税の特別徴収推進ステーション)(確認日:2026年10月23日、次回確認:2027年1月26日)
- 目黒区「個人住民税の給与からの特別徴収」(確認日:2026年10月14日、次回確認:2027年2月10日)
- eLTAX 地方税ポータルシステム「給与支払報告書等の提出に係る特設ページ」(確認日:2026年10月23日、次回確認:2027年1月26日)