この記事の対象:特定技能外国人を雇う常時50人以上の事業場で、産業医の契約や安全衛生の届出を担当する人事・総務担当者

産業医が替わるときの報告は2つある

労働安全衛生規則第13条は、産業医の選任と、辞任・解任・退任の報告を別々に定めています。

産業医を選任する義務があるのは、常時50人以上の労働者を使用する事業場です。労働安全衛生法施行令第5条が規模を定めています。選任は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に行います(労働安全衛生規則第13条第1項第1号)。

鳥取労働局の案内によると、これまでは産業医を選任した場合に報告が必要でした。令和8年8月1日以降は、選任に加えて、辞任、解任または退任の場合にも報告が必要になっています。第13条第2項第7号は、この辞任・解任・退任をまとめて「辞任等」と定義し、第5項がこの語を使っています。

報告先は2つあります。所轄の労働基準監督署長への報告は第5項、事業場の衛生委員会または安全衛生委員会への報告は第4項の定めです。対象が異なるため、表で分けて確認します。

産業医に関する報告の整理(労働安全衛生規則第13条)
場面報告先期限対象
産業医を選任したとき(第2項)所轄労働基準監督署長遅滞なく選任
産業医の辞任等があったとき(第5項)所轄労働基準監督署長遅滞なく辞任、解任、退任
産業医が辞任したとき、または解任したとき(第4項)衛生委員会または安全衛生委員会遅滞なく(その旨と理由を報告)辞任、解任(退任は含まれない)

労働基準監督署長への報告事項と方法

第5項は、報告する事項を2つのまとまりで定めています。

1つ目は事業場の情報です。参照先は第2条第2項の第1号から第3号までと第8号です。

内容は、労働保険番号、事業の種類、事業場の名称・所在地・電話番号、常時使用する労働者の数、報告年月日、事業者の職氏名です。2つ目は、辞任等があった産業医の氏名と辞任等の年月日です。

方法について、第5項は電子情報処理組織(電子申請)を使うと定めています。鳥取労働局の案内は、電子申請が原則で、当分の間は書面による報告も可能とされていると説明しています。

報告の様式は、厚生労働省の主要様式ダウンロードコーナー(安全衛生関係主要様式)に掲載されていると、同じ案内が示しています。様式の番号や記入方法は、ダウンロード先の案内で確認します。

第5項の報告事項
区分内容
事業場の情報(第2条第2項第1〜3号・第8号)労働保険番号/事業の種類、事業場の名称・所在地・電話番号/常時使用する労働者の数/報告年月日、事業者の職氏名
辞任等の情報(第13条第5項第2号)辞任等があった産業医の氏名、辞任等の年月日

後任者の選任報告で代えられる範囲

第5項のただし書きは、後任者を選任する場合の報告を簡素にしています。

ただし書きは、辞任等の報告を、後任者の選任に係る第2項の報告で代えることができると定めています。代える場合に、その選任報告へ載せる事項は、第2項の第1号と第7号です。第7号は、前任者がいる場合のその氏名と、辞任等の年月日です。

つまり、後任者を選任して選任報告を出すときに、前任者の氏名と辞任等の年月日を書けば、辞任等の報告も済みます。条文が代えられるとしているのは、後任者の選任に係る報告です。

後任者の選任報告で代えない場合(まだ選任報告をしていない場合を含む)は、第5項の事項を報告します。本ガイドは条文の概要です。読み方に迷うときは、所轄の労働基準監督署に確認してください。

特定技能外国人を雇う事業場で確認すること

産業医の交代は、外国人従業員の健康診断や面接指導の窓口が変わる場面でもあります。

産業医の職務には、健康診断の実施と結果に基づく措置、面接指導、ストレスチェックの実施などが含まれます(労働安全衛生規則第14条)。特定技能外国人を雇う事業場でも、産業医が替わる時期は、これらの運用が途切れないよう引き継ぎを確認する時期です。

報告は事業者の義務で、報告漏れの扱いは個別の事情で変わります。本ガイドは規則と労働局の案内の概要で、個別の判断はできません。迷う場合は、所轄の労働基準監督署や産業保健の専門家に確認してください。

産業医の選任義務や衛生委員会の開催は、衛生管理者・産業医・衛生委員会のガイドで確認できます。

  • 産業医との契約の終了日や更新日を一覧で管理しているか
  • 辞任・解任・退任があったとき、労働基準監督署長への報告を担当する人を決めたか
  • 第5項の報告事項(事業場の情報と、産業医の氏名・辞任等の年月日)を手元に用意できるか
  • 後任者の選任報告に、前任者の氏名と辞任等の年月日を載せる手順になっているか
  • 辞任または解任のとき、衛生委員会等へ、その旨と理由を報告する手順があるか

よくある質問

産業医の辞任等の報告は、いつから必要ですか?

鳥取労働局の案内では、令和8年8月1日以降、産業医の選任に加えて、辞任、解任または退任の場合にも報告が必要とされています。

報告は誰に、いつまでに行いますか?

労働安全衛生規則第13条第5項は、遅滞なく、所轄の労働基準監督署長に報告するよう定めています。具体的な日数は条文に書かれていません。

後任者を選任したら、辞任の報告は別に要りますか?

第5項のただし書きは、後任者の選任に係る報告(前任者の氏名と辞任等の年月日を記載したもの)をもって代えることができるとしています。代えない場合は、第5項の事項を報告します。

衛生委員会への報告も必要ですか?

第4項は、産業医が辞任したとき、または解任したときに、遅滞なく、その旨と理由を衛生委員会または安全衛生委員会へ報告するよう定めています。退任は第4項に書かれていません。

参照した公的一次資料

試算に使う一次資料の一覧と確認状況を見る

次に確認すること

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