この記事の対象:事務所や管理部門で特定技能外国人を含む従業員にパソコン作業をさせる企業の総務担当者・安全衛生担当者

通達の位置づけ:事務所のパソコン作業が対象で、令和3年12月に一部改正

情報機器作業のガイドラインは、厚生労働省が都道府県労働局長あてに出した通達で、事務所でパソコンやタブレットを使う作業の労働衛生管理を示しています。

通達は令和元年7月12日付けの基発0712第3号です。令和3年12月1日付けの基発1201第7号で、照度の取扱いなどが一部改正されました。平成14年4月5日付けの基発第0405001号(VDT作業のガイドライン)は、この通達で廃止されています。

対象は、事務所衛生基準規則第1条第1項の事務所で行う情報機器作業です。データの入力・検索・照合、文章や画像の作成・編集、プログラミング、監視などがあたります。事務所以外の場所での作業や自営型テレワーカーの作業も、できる限りこのガイドラインに準じて管理するよう示されています。

通達の解説では、就業形態の区別なく、正社員、パートタイマー、派遣労働者なども対象とされています。特定技能外国人を事務所の入力や管理の業務に就かせる場合も、この基準に沿って整えます。

作業区分:1日4時間以上で拘束性があれば、全員が健診の対象

ガイドラインは、情報機器作業を2つに分け、区分によって健康診断の対象を変えています。

全員が健診の対象になるのは、1日に4時間以上情報機器作業を行う人のうち、作業中は常にディスプレイを見るか入力装置を操作する必要がある人、または作業中に労働者の裁量で休憩や姿勢の変更をとることが難しい人です。

それ以外の人は、自覚症状を訴える人だけが健診の対象です。通達は、衛生委員会などで個々の作業を区分することを求めており、産業医などの専門家の意見を聴くことも示しています。

情報機器作業の作業区分(通達の別紙)
作業区分健診の対象作業の例(別紙の記載)
作業時間または作業内容に相当程度の拘束性があるもの全員コールセンターでの相談対応、モニターによる監視・点検、校正・編集・デザイン、プログラミング、CAD作業、伝票処理、テープ起こし、データ入力
上記以外のもの自覚症状を訴える人のみ上の作業で4時間未満のもの、4時間以上でも労働者の裁量で休憩をとれるもの、文書作成、企画・立案、経理業務、庶務業務
  • 自社の情報機器作業を、別紙の2つの区分に当てはめた
  • 区分の判断を衛生委員会などで話し合い、記録に残した
  • 拘束性のある作業の人が、全員健診の対象になることを確認した

作業環境:書類上・キーボード上の照度は300ルクス以上

作業環境の整え方は、通達の「作業環境管理」の項に書かれています。数値で示されているものは限られます。

ディスプレイを使う場合、書類上とキーボード上の照度は300ルクス以上とし、作業しやすい明るさにします。室内は明暗の対照が著しくなく、まぶしさが出ないようにします。窓から日光が入るときは、ブラインドやカーテンで調整します。

ディスプレイとの視距離はおおむね40cm以上を確保し、画面の上端は眼の高さとほぼ同じか、やや下にするのが望ましいとされています。ディスプレイに表示する文字の高さは、おおむね3mm以上が望ましいとされています。

事務所衛生基準規則の第10条は、採光と照明を、明暗の対照が著しくなく、まぶしさを生じさせない方法によることとし、照明設備を6か月以内ごとに1回、定期に点検することを定めています。

工場・倉庫を含む作業場の照度は、作業場の照度・換気・温湿度のガイドで確認できます。

作業管理:一連続作業は1時間以内、次まで10〜15分の休止

通達は、健康影響が作業時間と拘束性に強く依存するとして、作業管理を優先して行うよう示しています。

一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に10分から15分の作業休止時間を設けます。あわせて、一連続作業の間に1回から2回程度の小休止を設けるよう指導することとされています。

1日の作業時間が過度に長くならないよう指導し、作業者の特性に合った無理のない業務量にします。拘束性のある区分では、他の作業を組み込む、他の作業とローテーションするなどして、1日の連続した情報機器作業の時間が短くなるよう配慮します。

座位だけでなく、ときどき立って作業することが望ましいとされています。椅子の高さや机、キーボード、ディスプレイの位置は、作業者が調整できるようにします。

健康診断:配置前と、その後は1年以内ごとに1回

新たに健診の対象となる作業に就く人には、配置前に健康診断を行い、配置後は定期に行います。

対象は、全員が健診の対象の区分では該当するすべての人、それ以外の区分では自覚症状を訴える人です。定期健康診断は1年以内ごとに1回行います。労働安全衛生法第66条第1項の一般定期健康診断と併せて実施して差し支えないと、通達に書かれています。

調べる内容は、情報機器作業の業務歴、既往歴、自覚症状の有無、眼科学的検査、筋骨格系に関する検査です。眼科学的検査のうち、40歳以上の人には調節機能検査と、医師の判断による眼位検査が示されています。

自覚症状に異常がなく、視力が両眼とも0.5以上保たれている人には、一部の検査を省略して差し支えないという、ただし書きもあります。配置前の健康診断では、目の疲れを訴える人に眼位検査と調節機能検査を行います。

テレワークで情報機器作業をする人には、通達が別のテレワークのガイドラインも参照するよう示しています。事業者が用意した作業場以外で働く場合は、衛生基準と同等の作業環境になるよう助言することが望ましいとされています。

一般の定期健康診断は、定期健康診断のガイドで確認できます。

  • 拘束性のある作業に就く人に、配置前の健康診断を行った
  • 定期健康診断を1年以内ごとに実施し、一般定期健診と併せるかを決めた
  • 作業休止の取り方(1時間以内で10〜15分)を作業者に伝えた

よくある質問

情報機器作業の健康診断は、パソコンを使う全員が対象ですか?

全員ではありません。1日4時間以上で、常にディスプレイを見る、または休憩や姿勢の変更が難しい作業の人は全員が対象です。それ以外の人は、自覚症状を訴える人が対象です。区分は、衛生委員会などで個々の作業について判断します。

パソコン作業の休憩は、どのくらいの間隔で取ればよいですか?

通達は、一連続作業時間を1時間以内とし、次の連続作業まで10分から15分の作業休止時間を設けるよう示しています。一連続作業の間にも、1回から2回程度の小休止を設けます。

パソコン作業の机の上の明るさに基準はありますか?

通達は、ディスプレイを使う場合の書類上とキーボード上の照度を300ルクス以上とするよう示しています。このほか、事務所衛生基準規則第10条で、照明設備は6か月以内ごとに1回の定期点検が必要です。

在宅勤務のパソコン作業にもこのガイドラインは当てはまりますか?

事務所以外の場所での作業も、できる限りこのガイドラインに準じて管理するよう通達に書かれています。テレワークについては、別のテレワークのガイドラインを参照して必要な健康確保措置を講じることとされています。

参照した公的一次資料

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